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営業のPDCAを回す9つの手順・15の業界別具体例と回らない原因・記録表の5項目

営業のPDCAを回す9つの手順と、業界別の具体例、記録表の作り方まで解説します。

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本記事を読むと分かること

・営業のPDCAを回す9つの手順(計画・実行・評価・改善)
・業界別の具体例15選と、PDCAが回らない5つの原因
・記録表の5項目と、周期別・役割別の回し方

営業の現場担当だけでなく、チームを率いる責任者にも役立つ内容です。
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営業のPDCAとは?3つの基本

基本①:PDCAの4段階の意味

営業のPDCAとは、計画・実行・評価・改善の4つの段階を繰り返し、営業のやり方を良くする取り組みです。
中小企業基盤整備機構のJ-Net21は、PDCAをPlan・Do・Check・Actの頭文字と説明しています。
同じ資料では、実行したものの効果を確認し、より高いレベルの次の行動につなげる取り組みとされています。
(参考:J-Net21(中小企業基盤整備機構))
本記事での4つ目の段階の表記は、Action(改善)です。
営業の現場では、この4つを週や月の単位で繰り返します。
段階ごとに営業担当が何をするかは、次のとおりです。

・Plan(計画):1日の行動量と、改善する課題を1つ決める
・Do(実行):決めた打ち手を期限まで試し、毎日の行動を記録する
・Check(評価):目標とのズレを数字で見て、仮説が当たったかを確かめる
・Action(改善):打ち手を続けるかやめるかを決め、効いたやり方を型にする

4つのうちどれか1つでも抜けると、営業の改善はその場で止まります。
数字を見る段階で必要になるのが、KPIという物差しです。

基本②:営業のKPIとPDCAの関係

PDCAを回しても改善しないのは、何を物差しにするかが決まっていないからではありませんか?
KPIは、Check(評価)で使う物差しにあたります。
KPIが決まっていないと、何を見て良し悪しを判断するかも決まりません。
内閣府の手引きでのKPIの定義は、取組の進捗状況を定量的に測定するための指標です。
同じ手引きでは、PDCAサイクルを確立するために、効果を評価できるKPIの設定が有効とされています。
(参考:内閣府 地方創生推進事務局)
営業では、最終目標の指標と途中の指標、そして毎日の行動量が階段のようにつながります。
3つの関係を整理したものが、次の表です。 

指標の種類

営業での例

PDCAのどこで使うか

KGI(最終目標の指標)

受注件数・売上

Plan(計画)で目指す到達点として置く

KPI(途中の達成度を測る指標)

商談化率・アポ獲得数

Check(評価)で達成度を測る

行動量

架電数・訪問数・メール送信数

Do(実行)で毎日記録する

物差しが決まると、うまくいかない原因を探す場所がひとりでに絞られます。
ここで、PDCAとよく比べられるOODAループとの違いも見ておきましょう。

基本③:OODAループとの違い

PDCAとOODAループは、どちらが優れているかではなく、向いている場面が違います。
計画を立てて結果を検証し、改善を積み重ねる場面に向くのがPDCAです。
目の前の状況を見て、その場で判断する場面に向くのがOODAループです。
防衛研究所の資料によると、OODAループは元米空軍人のジョン・ボイド氏が提唱しました。
観察・方向付け・決心・行動の4語の頭文字で、近年はビジネスでも使われる言葉です。
(参考:防衛研究所 NIDSコメンタリー第207号)
営業の現場に置き換えると、週次の振り返りや月次の計画の見直しがPDCAの場面です。
商談中の切り返しや、競合の急な動きへの対応はOODAループの場面にあたります。
2つはどちらかを選ぶものではなく、重ねて使えます。
日々の商談ではその場の状況を見て判断し、その判断の結果を週次のPDCAでまとめて振り返る形が現実的です。
使い分けができると、目の前の判断と中期の改善が両方そろいます。
次は、営業でPDCAを回すと何が手に入るのかを見ていきましょう。

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営業でPDCAを回す3つのメリット

メリット①:成果が出た理由を再現できる

売れた理由を言葉にして残せると、同じ成果をもう一度出せます。
月末に数字を見て「今月はたまたま売れた」で終わる振り返りは、翌月に何も残しません。
受注できた商談の記録と立てた仮説を照らし合わせる作業が、成果の出た理由を言葉として残す近道です。
理由が言えないままだと、翌月も運任せの営業を続けることになります。
記録から何が見えるようになるかを、次の表にまとめました。

記録に残すもの

できるようになること

営業成果への効き方

受注できた商談の進め方

勝ちパターンを言葉で説明できる

同じ動きを翌月も再現できる

立てた仮説と結果

効いた打ち手と効かなかった打ち手を分けられる

無駄な動きに時間を使わずに済む

失注した商談の理由

つまずきやすい場面を先に読める

同じ理由での取りこぼしが減る

再現できる営業は、担当者のその月の調子に左右されにくいのが強みです。
成果の理由が見えると、うまくいっていない場面にも早く気づけます。

メリット②:課題の早期発見につながる

数字を毎日や毎週の単位で見る習慣があると、目標とのズレに早く気づけます。
月末にまとめて数字を見る進め方だと、気づいた時点ではもう手遅れです。
毎日の行動量と、決めた課題の数字だけを見ておけば、月の途中でも様子がおかしい場面をつかめます。
早めに気づけるズレのサインには、次のようなものがあります。

・架電の件数は足りているのに、商談につながる割合だけが落ちている
・特定の業種にだけ反応が悪く、他の業種では今までどおり話が進む
・新人の架電が、つながりにくい時間帯に偏っている

ズレに気づくのが早いほど、打てる手の数は多いままです。
気づいた内容をチームで分け合えると、改善の速さはさらに上がります。

メリット③:チームで改善の方法を共有できる

PDCAを回すと、個人の中にしまわれていたやり方をチームの共有財産にできます。
属人化とは、進め方が個人の頭の中にしかない状態のことです。
成績の良い担当者が異動した途端にチームの数字が落ちる職場は、属人化が進んだ状態にあたります。
記録を残して仮説を検証する流れを続けると、言葉にできなかった進め方が誰でも読める形になって残ります。
何を共有するとチームに効くのかは、次の表のとおりです。 

共有するもの

チームでできること

現場への効き方

効いたトークの型

新人が最初から通じる言い方を使える

立ち上がりまでの時間が短くなる

失注した理由

つまずきの多い場面を全員で避けられる

同じ失注の繰り返しが減る

試してだめだった打ち手

他の担当が同じ回り道をせずに済む

使える時間を有望な商談に回せる

共有できる形にするには、個人の感覚ではなく決まった順番で回す必要があります。
次は、営業のPDCAを回す9つの手順を順番に確かめましょう。

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営業のPDCAを回す9つの手順


【Plan】

手順①:受注目標から行動量を逆算する

計画の出発点は、受注目標から1日の行動量までをさかのぼって決める作業です。
逆算をしないと、架電30件といった目標は出どころのわからない数字になり、未達でも原因をたどれません。
逆算の手順は、次の4段階です。

①今月の受注目標の件数を置く
②受注につながるために必要な商談数を出す
③商談につなげるために必要なアポ数を出す
④アポ数を営業日で割り、1日の架電数や訪問数を決める

②と③で使う割合は、他社の平均値ではなく自社の過去の実績の数字が前提です。
現段階での自社の実績をベースにすれば、無理な目標設定にならずに対応が可能です。
ただし、行動量を決めただけでは改善する場所が定まりません。

手順②:改善する課題を1つに絞る

課題をいくつも並べた計画が、翌週には誰にも見られていないことはありませんか?
計画で決める課題は、1つに絞り込んでください。
課題を1つにすると、毎日その数字だけを確かめられます。
一方で、直したい点を5つも6つも並べた計画は、どれも手つかずか中途半端なまま月末を迎えます。
何を基準に絞るかは、次の表のとおりです。

課題の候補

絞り込みの基準

絞った後に毎日見ること

アポの数が足りない

受注への影響がいちばん大きいか

1日の架電数とつながった件数

商談から受注に進まない

自分たちの動きで変えられるか

提案後に次の予定が入った商談の数

特定の業種で反応が悪い

毎日の数字で確かめられるか

その業種への連絡件数と反応

絞った課題は、月の途中で気分によって変えないでください。
課題が決まったら、次はそれを動かす打ち手を考えます。

手順③:打ち手の仮説を1つ立てる

打ち手は、当たり外れを後から判断できる形で決めます。
仮説のない打ち手は、数字が動いても動かなくても理由が不明です。
仮説の書き方を「もし〜を変えれば、〜が増えるはず」の形にそろえておくと、書くときに迷いません。
前の段階で絞った課題に合わせると、書き方の例は下の3つです。

・もし架電の時間帯を朝に寄せれば、つながる件数が増えるはず
・もし提案書の1枚目を費用対効果に変えれば、次の打ち合わせに進む商談が増えるはず
・もし業種を2つに絞って連絡すれば、アポになる割合が上がるはず

仮説と一緒に確かめる数字も決めておくのが、評価の段階で迷わないこつです。
闇雲に行わず、検証を綿密に出来る形にそろえておくことが重要です。
仮説が決まれば、計画の段階は終わります。

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【Do】

手順④:打ち手を期限まで試す

実行の段階では、決めた期限まで打ち手を変えない1点だけを守ります。
途中で打ち手を足したり入れ替えたりした時点で、何が効いたのかは追えない状態です。
期限の長さは、日数よりも「次の週次の会議で結果を確かめられる単位」で考えると現実に合います。
試す前に決めておくことは、下の表が目安です。 

決めておくこと

決め方の例

途中でやってはいけないこと

期限

次の週次会議までなど、確かめる場に合わせる

結果が悪いからと早めに打ち切る

試す範囲

担当者全員か、特定のチームかを決める

途中で対象の顧客を入れ替える

記録の方法

書く項目と書く場所を先にそろえる

人によって書き方を変える

やりきった打ち手は、失敗しても次の材料になります。
期限まで試すには、その間の動きを残す作業が欠かせません。

手順⑤:毎日の行動を記録に残す

実行した内容は、その日のうちに記録へ残してください。
その日のうちに書かないまま記憶をたどって振り返ると、起きた事実とそのときの印象が混ざります。
「今週は頑張った」という感想からは、次の打ち手が1つも出てきません。
毎日残す項目は、次の4つで十分です。

・行動量(架電・メール・訪問のそれぞれの件数)
・相手の反応(断られた理由や、聞かれた質問)
・試した打ち手(その日に実際にやったこと)
・気づき(次に試したいと感じたこと)

何分もかかる量にすると続かないので、1日数分で書き終わる量が目安です。
記録がたまると、評価の段階で見る材料がそろいます。
 

【Check】

手順⑥:目標とのズレを数字で見る

評価は、感覚ではなく数字のズレから入ります。
「今月は調子が悪い」という言い方は、どこを直すかを決められない表現です。
見る順番は、行動量、商談化、受注の順です。
上から順に見ると、ズレの出ている場所が1か所に絞れます。

見る数字

ズレの見方

ズレが出たときに次に見る場所

行動量

計画した件数に届いているか

時間の使い方と、架電した時間帯

商談化

つながった件数のうち商談になった割合

話の切り口と、連絡したリストの中身

受注

商談のうち受注に進んだ割合

提案の内容と、決裁者に会えているか

行動量は計画どおりなのに商談化の割合だけが低いなら、原因は連絡した相手ではなく話の中身です。
数字のズレがわかったら、立てた仮説の答え合わせに進みます。

手順⑦:仮説が当たったか確かめる

評価で確かめるのは、数字が動いたかどうかだけではありません。
立てた仮説のとおりの理由で数字が動いたのかどうかが本題です。
たとえば、朝の時間帯に架電を寄せた結果、アポの件数が増えたとします。
中身を見ると、増えたのは狙った業種ではなく、以前から取引のある会社ばかりだったという場合があります。
この場合、アポは増えていても、仮説が当たったという判断は早計です。
結末は、当たった、外れた、まだわからない、の3つに分かれます。
当たったと言えるのは、狙った相手で狙った数字が動いたときだけです。
外れたときは、なぜ違う結果になったのかを1行で書き残してください。
試した期間が短い場合や、他の要因が混ざった場合は、まだわからないという結末で構いません。
外れた仮説の記録も、次の計画を立てるときの材料です。
答え合わせが終われば、打ち手の扱いを決める段階です。 

【Action】

手順⑧:続けるかやめるかを決める

改善の段階では、試した打ち手を続けるかやめるかをその場で決めます。
やめると決めないまま次の打ち手を足すと、現場の手元には中途半端な取り組みばかりが積み上がります。
続けるかやめるかはしっかり判断することが重要です。
答え合わせの結果ごとの決め方は、下の表の3通りです。 

確かめた結果

決め方

次の動き

当たった

続けると決める

誰でも使える型にして全員に配る

外れた

やめると決める

別の仮説を1つ立て直す

まだわからない

条件をそろえて試し直す

期限か対象を変えてもう一度実行する

決める人と決める場も先に決めるなら、週次の会議でマネージャーが口に出す形がいちばん簡単です。
続けると決めた打ち手は、次の段階で形に変えます。

手順⑨:効いた打ち手を型にする

効いた打ち手は、誰がやっても同じ手順で再現できる形に直します。
この形が、本記事で言う型です。
型にしないまま個人の工夫で終わらせると、その担当者が異動した時点で、チームのやり方は元に戻ります。
型にする手順は、次の4段階です。 

①効いたときの条件(相手の業種・時間帯・商談の段階)を書き出す
②話した内容や手順を、そのまま読める文章にする
③他の担当者が同じ手順で試し、通じるかを確かめる
④チーム全員が見られる場所に置き、更新の担当を決める

④まで終えて1周ですが、型の中身は業界や商材によって変わります。
次は、業界ごとにPDCAがどう回るのかを具体例で見ていきましょう。

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営業のPDCAの業界別具体例15選

ここで紹介する15の例は、各業界でよくある状況をもとにした想定例です。
実在する企業の成果ではないため、自社の数字に置き換えて読んでください。
 

【IT・Web】

SaaS:無料体験後の商談化を改善

SaaSとは、ネット経由で使う月額制のソフトのことです。
無料体験の申込者に同じ案内を一律で送り、返信がないまま体験期間が終わる場面はよく起こります。
申込者の中には、機能を毎日使い込んでいる人と、登録だけで止まっている人が混ざっています。
全員に同じ連絡をする限り、どちらの反応も読み取れない状態です。
連絡の順番を変える打ち手を、PDCAの4段階に分けると次のようになります。 

段階

やること

見る数字の種類

Plan(計画)

利用の多い順に連絡すると商談が増える、という仮説を立てる

体験期間中の利用状況

Do(実行)

決めた期間、利用の多い申込者から順に連絡する

連絡した件数

Check(評価)

利用の多い人と少ない人で、商談になった割合を比べる

連絡への反応

Action(改善)

差が出た場合、連絡の順番を営業チームのルールにする

商談になるまでの日数

順番を変えるだけの打ち手でも、仮説と数字があれば効果を確かめられます。
提案書を出した後の動きにも、同じ考え方が有効です。

システム開発:提案の通過率を上げる

通過率とは、出した提案が次の検討段階に進んだ割合のことです。
提案書を出したのに社内検討で落ちる商談が続くと、どこを直せばよいのか見当がつきません。
よくある原因は、技術の説明が中心で、決裁者が気にする費用対効果やリスクに答えていない点にあります。
この場合のPDCAの回し方は、次のとおりです。

・Plan(計画):直近で落ちた商談の理由を聞き取り、提案書のどこを変えるか1か所決める
・Do(実行):決めた1か所だけを変えた提案書で、次の商談に臨む
・Check(評価):変えた後の提案が、検討の次の段階に進んだかを確かめる
・Action(改善):進んだ場合は、その構成を全員が使う提案書のひな形にする

一度に何か所も変えると、何が効いたのか判断できません。
既存の顧客に向けた提案にも、同じ組み立てが使えます。

広告:既存顧客の追加受注を増やす

新規開拓に追われるうちに、既存顧客への追加提案が後回しになる状況です。
すでに取引のある顧客は、こちらの仕事ぶりを知っているため、新規よりも話を聞いてもらえます。
それでも提案が出ないのは、提案する場と中身が決まっていないからです。
既存顧客への提案を回す形を、次の表にまとめました。 

段階

打ち手の例

確かめる点

Plan(計画)

毎月の成果報告の場で、次の施策を1つ提案すると決める

提案する顧客の数を先に決めたか

Do(実行)

報告の資料に、次に試したい施策の案を1枚加える

決めた顧客すべてに出せたか

Check(評価)

提案した案件のうち、検討に進んだものを数える

断られた理由が記録に残ったか

Action(改善)

反応の良かった提案の型を、他の担当の報告にも広げる

他の担当でも通じたか

報告の場を提案の場に変えるだけで、追加受注の入り口が増えます。
人を相手にする業界でも、入り口の作り方の見直し方は同じです。
 

【人と知識のサービス】

人材紹介:求人企業の新規開拓を回す

電話はつながるのに、採用担当まで取り次いでもらえない状況です。
断られた理由を記録しないままかけ続けると、翌週もその次の週も、同じ断られ方を繰り返します。
つまずきごとに打ち手を決めると、改善する場所がはっきりします。

・つまずき:業種を絞らずにかけているため、話の切り口が毎回変わる/打ち手:今週は1つの業種に絞り、その業種の採用事情から話す
・つまずき:採用の動いていない時期にかけている/打ち手:求人を出した直後の会社に絞ってかけ直す
・つまずき:会社の紹介から話し始めている/打ち手:最初の一言を、同業他社の採用の困りごとに変える

打ち手を1週間試したら、取り次いでもらえた件数を業種ごとに比べてください。
差の出た切り口を全員の台本に取り込めば、改善が1周します。

コンサル:紹介からの相談を増やす

紹介が来るのを待つだけの状態では、いつ相談が入るのかも、今月は何件になるのかも読めません。
紹介を増やす材料は運ではなく、紹介元との接点の数です。
次の表は、よくある状況ごとに仮説と見直しの観点を並べたものです。

よくある状況

立てる仮説

見直しの観点

紹介が来るのは特定の1社だけ

他の取引先にも紹介の話をすれば、紹介元が増えるはず

紹介の話をした取引先の数

紹介された後の連絡が遅い

受けた当日に連絡すれば、相談まで進む割合が上がるはず

紹介から最初の連絡までの日数

紹介してくれた人に結果を返していない

結果を報告すれば、次の紹介につながるはず

報告した紹介元の数と、その後の紹介

この表の1列目が計画の材料、2列目が実行する打ち手、3列目が評価で見る場所にあたります。
差が出た観点を続けると決めれば、改善につながります。

教育研修:人事部へのアポ率を上げる

アポ率とは、連絡した数のうち面談の約束が取れた割合のことです。
研修の内容を先に案内するより、人事部が今抱えている困りごとから話を始めるほうが会ってもらえます。
人事部は研修を買う部署である前に、採用や評価の締め切りに追われている部署だからです。
そこで計画では、話の切り口を1つだけ決めます。
新人の定着、管理職の育成、評価者の目線合わせなど、切り口は年によって変わります。
実行では、決めた期間はその切り口だけで連絡を続けてください。
評価では、切り口ごとにアポになった件数を並べて比べます。
このとき、連絡した時期も一緒に見ると判断を誤りません。
採用や評価の山場と重なった週は、切り口が良くてもアポになりにくいためです。
改善では、アポにつながった切り口を全員の連絡文の型に反映します。
効いた切り口は、翌年の同じ時期にもう一度使えます。
ここまでは人を相手にする商売の例でしたが、モノを売る営業でも進め方は同じです。
 

【モノの販売】

製造業:代理店経由の案件を増やす

代理店に任せきりにしていると、実際に製品を使うお客様の困りごとが、自社まで届かなくなります。
届かない情報は、次の提案にも製品の改良にも使えません。
この業界のPDCAで他と違うのは、代理店と一緒に回す点です。 

段階

自社でやること

代理店と決めること

Plan(計画)

増やしたい用途や業種を1つ決める

その用途の引き合いを月に何件共有するか

Do(実行)

代理店の営業担当向けに説明資料を作る

説明資料を使う対象の顧客を選ぶ

Check(評価)

共有された引き合いの数と中身を確かめる

現場で出た質問を持ち寄る

Action(改善)

質問の多かった点を資料に足す

次に狙う用途を一緒に決める

代理店を通す営業では、情報が戻る道を作ることが改善の前提です。
対面で名刺を集める営業にも、同じ考え方があてはまります。

商社:展示会の名刺を商談につなぐ

展示会で名刺は集まるのに、後日の連絡が目の前の商談に押されて後回しになり、そのまま終わる状況です。
連絡が遅れた名刺は、相手の記憶からも消えてしまいます。
展示会の前後でやることを、時間の流れ順に並べました。

・展示会の前:声をかけたい業種と、当日に聞く質問を決めておく
・当日:名刺に、相手の関心の度合いと話した内容をその場で書き込む
・後日の連絡:関心の高い相手から順に連絡し、話した内容に触れて切り出す
・振り返り:関心の度合いごとに、商談になった件数を比べる

比べた結果は、次の展示会の計画にそのまま使える材料です。
定期的な取引のある商売では、また別の見落としが起こります。

医療機器:病院への訪問計画を見直す

訪問できる時間や場所が限られる中で、どの病院に時間を使うか決め切れない状況です。
医療機関には、受付での手続きや訪問できる時間の決まりがあり、その範囲で動く必要があります。
また、医療機器業には医療機器業公正競争規約があり、医療機器業公正取引協議会が管理と運用をしています。
(参考:医療機器業公正取引協議会)
そのため、改善の方向は訪問の回数ではなく、限られた枠の使い方です。 

段階

やること

守るルール

Plan(計画)

優先して訪問する診療科と、伝える情報を決める

訪問できる時間と場所の決まりを先に確かめる

Do(実行)

決めた優先順位のとおりに訪問の予定を組む

受付の手続きを省かない

Check(評価)

訪問先ごとに、相談や問い合わせがあったかを見る

規約で制限された便宜の提供はしない

Action(改善)

反応の良かった情報を、他の訪問先にも使う

病院ごとの決まりに合わせて内容を調整する

枠が決まっている営業ほど、何を伝えるかの見直しが効きます。
取引が続いている顧客でも、気づかないうちに注文が止まる場合があります。

食品卸:定期注文の取りこぼしを防ぐ

いつも入るはずの注文が来ていないことに、気づくのが遅れる状況です。
気づいたときには、すでに他社に切り替わっている場合もあります。
取りこぼしを防ぐ動きは、次の4段階で回せます。

①顧客ごとに、注文が入る間隔を記録する
②いつもの間隔より空いた顧客をその週のうちに拾い出す
③連絡して理由を聞き、その内容を記録に残す
④理由の種類ごとに、次にやることを決める 

何日空いたら連絡するかの基準は、他社が使う一律の日数ではなく、その顧客にとってのいつもの注文の間隔です。
更新の時期が決まっている商材なら、時期そのものが打ち手を決めます。

オフィス機器:リース更新の時期を逃さない

更新の直前に連絡した結果、他社と比べられて切り替えられる状況です。
更新の判断は、こちらが連絡するよりも前に社内で始まっています。
早い時期から順に、やることと記録する内容を整理しました。

更新までの時期

やること

記録する内容

早めの時期

今の使い方と不満を聞き、困りごとを拾う

出てきた不満と、使用台数の変化

中間の時期

拾った困りごとに合う機種や条件を提案する

提案した内容と相手の反応

直前の時期

決裁の進み具合を確かめ、条件を詰める

比較されている他社と、決め手

いつから動き始めるかの基準は、他社が示す一般的な目安ではなく、自社の契約管理に残っている更新の記録です。
時期を読む考え方は、不動産や金融の営業にも通じます。

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【建設・不動産・金融・物流】

建設:元請けからの受注を増やす

付き合いのある元請けからの声がけを、待つだけになっている状況です。
声がかからない理由は、値段だけではありません。
見積もりの返事の速さや、前回引き受けた工事の進め方も、声をかける相手を選ぶ材料になっています。
計画で決めることと、振り返りで見ることを分けたのが次の項目です。

・計画:今期に取引を増やしたい元請けを3社選ぶ
・計画:その3社に、こちらから提案する工種を1つ決める
・計画:見積もりの返事を何日以内に出すかを決める
・振り返り:返事の速さと、実際に受注できた案件の関係
・振り返り:前回の工事の後に、次の声がけがあったかどうか

この2つを毎月並べると、値段以外に効いている要素が見えます。
効果の現れた要素がわかれば、次の期に力を入れる場所も決まります。

不動産:法人の移転需要をつかむ

移転の方針が社内で決まった後にようやく声がかかり、条件を比較される一社で終わってしまう状況です。
検討が始まる前に相談してもらえれば、条件の作り方から関われます。
移転のきっかけをつかむ動きを、段階ごとに整理しました。 

段階

つかむ情報

動き方

Plan(計画)

人員が増えている会社と、契約更新が近い会社を洗い出す

洗い出す条件を決めてリストを作る

Do(実行)

訪問や連絡で、今の広さへの不満を聞く

決めた期間、同じ質問で聞いて回る

Check(評価)

不満を話した会社のうち、相談に進んだ数を見る

質問の仕方ごとに結果を比べる

Action(改善)

相談に結びついた質問を、全員の訪問時の型にする

聞く相手の役職も合わせて見直す

早い段階で相談を受けられるかどうかが、価格だけの比較から抜け出す分かれ目です。
情報を先につかむ考え方は、融資の提案にも使えます。

金融:法人融資の提案機会を増やす

評価の場面から振り返ってみます。
面談記録の読み返しで見つかるのは、取引先が話していた事業の変化の聞き流しです。
新しい設備を入れる話や、人を増やす計画は、提案の機会が生まれる手前の合図です。
合図を記録していなければ、提案の時期を逃したことにすら気づけません。
そこで計画では、面談で必ず聞き取る話題を決めます。
決算の時期、設備投資の予定、取引先の増減などが、記録に残す話題の候補です。
実行の段階では、面談のたびに、決めた話題について聞き取った内容を記録の欄へ必ず書き残します。
書く欄を作っておくと、担当者によって記録の差が出にくくなります。
評価で数えるのは、記録した話題のうち、どの話題から提案の機会が生まれたかです。
改善では、機会につながった話題を優先して聞く順番に変えます。
なお、ここで増やせるのは提案の機会までです。
融資の可否は審査で決まるため、営業の改善で約束できるものではありません。
提案の幅を広げる考え方は、運ぶ仕事の営業にもあてはまります。

物流:荷主への提案を広げる

運賃の話だけで商談が終わり、保管や配送の見直しの提案まで広がらない状況です。
荷主が困っているのは運賃だけではありません。
在庫を置く場所の不足や、時期によって波のある出荷量の扱いにも、同じくらい悩みを抱えています。
聞き方と提案のつなげ方を段階ごとに分けたのが、次の表です。 

段階

荷主に聞くこと

提案へのつなげ方

Plan(計画)

出荷量が増える時期と減る時期

波に合わせた配送の組み方を用意する

Do(実行)

今の在庫の置き場と、手狭になる時期

保管と配送をまとめた案を出す

Check(評価)

出した案のどこに関心を示したか

関心の高かった項目を記録する

Action(改善)

関心の高い項目を次の商談の入り口にする

他の荷主にも同じ聞き方を試す

聞く項目を決めておけば運賃以外の話題に入れますが、業界が違っても回らなくなる原因は共通しています。
次は、その原因を5つに整理して確かめましょう。

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営業のPDCAが回らない5つの原因

原因①:計画の目標が大きすぎる

最初に立てる目標が大きすぎると、PDCAは初日から回らなくなります。
今期は新規受注を倍にするといった目標は、明日の行動にまで落ちません。
やるべきことがはっきりしないまま日々が過ぎ、月末に数字だけを見て落ち込む形になりがちです。
目標が大きすぎるときに、現場で何が起きるかを並べました。

・毎日の行動で目標に近づけているかを確かめられない
・達成までが遠すぎて、途中で手を抜いても気づかれない
・数字が届かなかった理由を、気合いや根性のせいにしてしまう

月の目標を1日の行動に分けると、その日のうちに達成できたかを確かめられます。
次に多いのは、その行動が記録として残っていない状態です。

原因②:行動の記録が残っていない

振り返りが印象の話になる会社では、その日の行動が記録に残っていません。
先月より頑張ったという感覚だけで話し合っても、何を変えれば数字が動くのかまでは決められません。
記録が続かない課題と、その対処の例が次の表です。

課題

対処法の例

入力する項目が多くて面倒になる

その日に必ず書く欄を3つまでに絞る

書く場所が人によって違う

全員が同じ表の同じ欄に書くと決める

忙しい日は後回しにして忘れる

帰社前の数分を書く時間として固定する

書く手間が減るほど、記録は毎日続きます。
記録がそろって初めて、振り返りの場は数字の報告から抜け出せます。

原因③:振り返りが報告だけで終わる

週次の会議が、数字を読み上げるだけで終わっていませんか?
報告で終わる会議が続く限り、PDCAのCheck(評価)は形だけです。
数字を読み上げ、足りない人が謝り、次も頑張ろうで終わる会議は珍しくありません。
報告会議になってしまう理由は、主に次の3つです。

・会議の目的が、進み具合の確認だけに決まっている
・数字のズレについて、原因を事実で話す時間が取られていない
・次に何を試すかを、その場で決める決まりがない

会議の最初に数字を確認し、残りの時間を原因と次の打ち手に使うだけで、話し合いの中身は変わります。
打ち手が決まり始めると、今度はその数が新しい問題です。

原因④:改善策が多すぎて続かない

打ち手を一度にいくつも増やすと、効いたものを1つに絞るのは不可能です。
同じ週にトークも架電の時間帯もリストも変えてしまえば、数字が動いた理由を1つに絞れません。
打ち手を増やしすぎたときに起きることと、対処の例です。

起きていること

対処法の例

週ごとに新しい打ち手が増えて手が回らない

新しい打ち手を1つ足したら1つやめると決める

どの打ち手が効いたのか説明できない

変えるのは1度に1か所までにする

効果のない打ち手が残ったままになる

続けるかやめるかを決める日をあらかじめ置く

やめる判断を先に決めておくと、打ち手は増えすぎません。
数がそろっても、上司の関わり方しだいで振り返りは止まります。

原因⑤:上司が結果だけを詰めている

結果だけを責める会議が続けば、部下が覚えるのは悪い数字を隠す動きです。
理由は、正直に報告しても叱られるだけだと学んでしまうからです。
数字が足りない本当の原因は、断られ方や相手の反応といった現場の事実に隠れています。
たとえば、架電の件数が足りない裏側に、リストの質の問題がひそむ場合も珍しくありません。
件数だけを詰められた部下が取る行動は、つながりやすい相手にかけ直して件数をそろえる形です。
その結果、数字は整っても、増えるのは商談につながらない行動ばかりです。
上司から見れば指導のつもりでも、部下にはPDCA自体が意味のない作業に映ります。
結果ではなく行動と事実を聞く姿勢が、回らない原因のうち最も直しやすい部分です。
何をどの周期で見るかを先に決めておくと、結果だけを詰める会議は避けられます。

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営業のPDCAを回す周期の3つの型

周期①:日次は行動量を確かめる

毎日の確認は、決めた行動ができたかどうかだけに絞ります。
その日のうちに原因まで深追いすると話し合いが長引き、結果として削られるのは翌日の行動に使う時間です。
日々の確認は、ズレに早く気づくための見張り役です。
毎日確かめる項目と、かける時間の考え方をまとめました。

確かめること

やり方の例

かける時間の考え方

決めた行動の件数

記録の欄に書いた数をその日のうちに見る

記入と確認を合わせて数分が目安

つながった相手の反応

印象に残ったやり取りを一言だけ残す

一件につき一行が目安

翌日にやることの確認

朝会か夕会のどちらかでまとめて話す

会の中の数分が目安

毎日見る項目を絞るほど、記録も確認も続きます。
ズレの理由をたどる話し合いは、週に一度の場が適切です。

周期②:週次はズレの原因を話し合う

週1回の会議で、次に試すことまで決め切れていますか?
週次の会議は、数字の確認ではなく、ズレの原因を話し合う場にします。
進め方を4つの段階に分けると、時間内に打ち手まで届きます。

①数字のズレを確認する
②ズレが出た原因を、事実にもとづいて話す
③次の1週間で試す打ち手を1つ決める
④担当と期限をその場で決める

原因を話す時間を確保するため、数字の確認は会議の最初に短く済ませ、残りを打ち手の相談に回してください。
週ごとの積み重ねは、月に一度、計画そのものの見直しに使います。

周期③:月次は目標と計画を見直す

月に一度は、週ごとの振り返りを計画そのものに戻します。
同じズレが何週も続く場合に直すべきなのは、日々の行動ではなく、月の計画の立て方そのものです。
月次で見直す項目には、変えるかどうかの判断の目安も添えました。 

見直すこと

見直しの材料

変える判断の目安

月の目標の数字

週ごとの実績と差の記録

3週続けて同じ差が出ているとき

絞った課題

打ち手の結果と原因の記録

打ち手を変えても数字が動かないとき

行動量の割り振り

行動ごとの商談化の記録

特定の行動だけ結果が偏っているとき

計画に戻す日を決めておくと、ズレたまま次の月に入る事態を防げます。
周期の次に考えたいのは、役割ごとに見る数字の違いです。

営業のPDCAを役割別に回す3つのポイント

役割①:インサイドセールスの回し方

インサイドセールスは、電話やメールで見込み客と関係を作り、商談につなぐ担当です。
この役割のPDCAは、商談につながる手前の行動を単位にして回します。
受注の数だけを追いかけていると、日々の打ち手を何にどう変えるかの判断材料までは集まりません。
見る数字と、そこから出てくる打ち手の例が次の表の中身です。

・つながった件数:かける時間帯を変えて、反応の良い時間に寄せる
・会話まで進んだ件数:最初の一言の切り口を1つだけ変えて試す
・商談になった件数:商談につながった会話の内容を全員で共有する

行動を種類ごとに分けて見ると、どこでつまずいているかがはっきりします。
商談を受け取る側の役割では、見る数字そのものが変わります。

役割②:フィールドセールスの回し方

フィールドセールスの担当範囲は、受け取った商談から受注までです。
こちらのPDCAで探すのは、商談の段階ごとに止まっている場所です。
商談の数が同じでも、どの段階で止まっているかによって、次に打つべき手はまったく違ってきます。
段階ごとに確かめることと、打ち手の例を整理しました。 

見る段階

確かめること

打ち手の例

初回の商談

次回の約束まで進んだ割合

初回で必ず聞く項目を決める

提案・見積もり

提案後に返事が止まる割合

決裁の流れを提案前に確認する

受注・失注

失注の理由の内訳

理由を選択式で記録して毎月集計する

失注の理由の記録から見つかるのは、値段以外で負けている点です。
役割ごとの回し方が決まったら、次は役割の間をつなぐ番です。

役割③:部門をまたいで数字をつなぐ

役割ごとにPDCAを回すだけでは、部門の間で責任の押し付け合いが起きます。
見ている数字が違えば、うまくいかない原因を相手の側に置いてしまうからです。
インサイドセールスは商談の数を増やしたと考え、フィールドセールスは商談の質が低いと感じる場面があります。
同じ商談という言葉を使いながら、数え方の基準がそろっていないために起きる食い違いです。
防ぐには、商談になったと数える条件を部門で一つに決めます。
予算の有無や決裁者との接点など、条件を具体的に書き出して全員で確認します。
マーケティング部門まで条件をそろえた状態が、問い合わせから受注までの数字が一本につながる形です。
数え方がそろえば、原因の話し合いは相手探しから打ち手の相談に変わります。
部門の間が整ったあとに残るのは、上司と部下の間での伝え方です。

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営業のPDCAを部下と回す3つの伝え方

伝え方①:数字を責めずに事実を聞く

「なぜ足りないのか」と聞いたとき、部下は本当の理由を話してくれていますか?
責める形で聞くと、返ってくるのは事実ではなく言い訳です。
数字が足りない部下を目の前にすると、つい理由から問い詰めたくなる場面は、経験の長い上司にもあります。
避けたい聞き方と望ましい聞き方を、次のように並べました。

・×なぜ件数が足りないのか/○昨日は何件かけて、どんな反応があったか
・×やる気があるのか/○断られたとき、相手はどんな言葉を使っていたか
・×来週は何とかできるのか/○来週は、どの時間帯を増やして試すか

いつ・何件・どんな反応の3点で聞くと、次の打ち手の材料がそろいます。
聞き方が変われば、打ち手を考える役割も部下の側に移せます。

伝え方②:改善策は部下に考えてもらう

次に試す打ち手は、上司が答えを言わず部下に考えてもらう場面です。
上司が毎回答えを出していると、部下は指示を待つだけになり、自分でPDCAを回せなくなります。
よくある3つの場面での問いかけと、そのねらいは次のとおりです。 

場面

問いかけの例文

ねらい

原因がはっきりしないとき

どの段階で止まっていると思うか

事実をたどる順番を身につける

打ち手が思いつかないとき

先月うまくいったやり方はどれか

自分の記録から材料を探させる

案が弱いと感じたとき

それで数字のどこが動くと考えるか

打ち手と数字の関係を結びつける

案が弱くても一度は試させ、評価の場で結果を一緒に確かめてください。
考える役割を渡したうえで、上司が加えたいのは小さな前進をほめる一言です。

伝え方③:小さな改善を会議でほめる

会議でほめる対象は、結果の数字ではなく行動の変化にします。
受注できた人だけをほめていると、工夫の中身が周りに共有されず、行動を変えようとする人は減ります。
会議で使えるほめ方の例を挙げました。

・記録を毎日つけ続けた点を、会議の最初に名前を出して伝える
・打ち手を1つに絞って試した判断を、全員の前で取り上げる
・うまくいかなかった試しでも、原因がわかった点を成果として扱う

行動をほめる材料は、日々の記録の中にそろっています。
材料を拾いやすくするために必要なのが、記録する表の形です。

営業のPDCAを記録する表の5つの項目

項目①:目標と実績を並べる欄

記録表の一番上には、目標と実績を横に並べる欄を置きます。
目標と実績を別々の場所に書いていると、どれだけ足りないのかを、その都度計算し直すことになります。
差が一目で見えることが、その週のうちに打ち手を考えられる条件です。
書き方の例として、3つの行動を並べた形を示します。

項目

目標

実績

差

行動量

〇件

〇件

〇件

商談数

〇件

〇件

〇件

受注数

〇件

〇件

〇件

差の欄が埋まっていれば、会議で話し合う相手も場所もすぐに決まります。
次に必要なのは、その差を生んだ日々の行動を書き残す欄です。

項目②:1日の行動量を記録する欄

2つ目の欄には、その日の行動を種類ごとに分けて書きます。
その日の合計だけを書き残しても、翌日にどの行動をどれだけ増やせばよいのかまでは読み取れません。
1日分の記入例は次のとおりです。 

・架電:〇件(つながった〇件)
・メール:〇件(返信〇件)
・商談:〇件(次回の約束〇件)
・気づいたこと:断られた理由で多かったもの

書く時間を毎日そろえると、記入漏れがほとんどなくなります。
行動を書くことができれば、次に目標とのズレがなぜ出たのかを書く欄に進みます。

項目③:目標とのズレの原因を書く欄

3つ目の欄は、差が出た原因を事実で書く場所です。
頑張りが足りなかったという書き方では、翌週に何をどう変えればよいのかが、読み返してもわかりません。
書き方の違いを、悪い例と良い例で見比べます。

書き方

悪い記入例

良い記入例

行動量のズレ

忙しくて回らなかった

午前が会議で埋まり、架電が午後だけになった

商談化のズレ

相手の反応が悪かった

予算の時期が合わず、再連絡の約束にとどまった

受注のズレ

競合に負けた

導入後の支援体制を聞かれ、答えを用意できなかった

原因を1行に1つだけ書くのが、次の打ち手を絞りやすくするコツです。
原因が言葉になったら、次に試す打ち手を書く欄に移ります。

項目④:次に試す打ち手を書く欄

4つ目の欄には、次に試すことを3点そろえて書きます。
打ち手だけを書き残しても足りず、いつまでに何の数字で確かめるかまでをそろえて、はじめて1組です。
記入例は下の3行です。

・打ち手:午前の架電を毎日10件先に済ませる
・期限:次の週次会議まで
・確かめる数字:つながった件数と商談の約束の数

3点がそろっていれば、上司も部下も同じ基準で結果を見られます。
最後に置くのは、その結果を受けた上司からの一言の欄です。

項目⑤:上司のコメントを書く欄

5つ目の欄は、上司が評価ではなく次の行動への一言を書く場所です。
よくやったという言葉だけでは、部下は次に何を変えればよいのか判断できません。
たとえば、午前の架電を先に済ませた点は続けて、断られた理由を3つだけ拾ってみようという書き方です。
5つの欄を合わせた完成形が下の表です。

欄名

記入例

目標と実績

商談数の目標〇件に対して実績〇件、差〇件

1日の行動量

架電〇件、うちつながった〇件、メール〇件

ズレの原因

午後だけの架電になり、つながる時間帯を外した

次に試す打ち手

午前に架電をまとめ、次の週次会議まで続ける

上司のコメント

時間帯の記録も残し、来週その差を一緒に見る


5つの欄がそろえば、その表はそのまま毎週の会議で使えます。
この表をどこで管理するかは、使う道具で決まります。

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営業のPDCAに役立つ3つのツール

ツール①:SFAで行動と商談を記録

SFAは、営業の活動や商談の状況を記録して管理するシステムです。
記録の手間を減らしたい会社は、まずこの道具を検討します。
手で作る表と違うのは、入力した内容がそのまま集計に回るため、振り返りの準備の時間が短く済む点です。
SFAに残しておきたい項目を挙げます。

・商談の段階と、次にやること
・行動の種類ごとの件数
・失注の理由を選ぶ欄

入力する項目を増やしすぎると、現場が書かなくなって記録が止まります。
人数が少ない会社なら、身近な表計算ソフトから始める手も有効です。

ツール②:表計算ソフトで集計する

人数が少ないうちなら、PDCAの記録は表計算ソフトでも十分です。
日々の記録と週ごとの集計を同じファイルにまとめておけば、新しい費用をかけずに今週から始められます。
表計算ソフトで集計しやすい項目を、向いている場面と合わせて示します。

集計すること

やり方の例

向いている場面

行動量の週ごとの合計

日付ごとの入力を週単位で足す

人数が5人ほどまでのチーム

目標と実績の差

差の列を計算式で自動で出す

目標が月単位で決まっている場合

失注の理由の内訳

理由を選択式にして数を数える

理由の分類が固まってきた段階

入力する人が増えて形がそろわなくなった時期が、SFAへ移る目安です。
集計の土台ができたら、日々の共有をどこで行うかを決めます。

ツール③:チャットで日々の結果共有

その日の結果は、チャットで短く共有するのが早い形です。
共有を週次の会議まで待つ形にしていると、その日に気づいたつまずきが1週間そのまま放置されます。
投稿の例を3つ挙げます。

・架電〇件、つながった〇件、次回の約束〇件
・断られた理由で多かったもの:予算の時期が合わない
・明日試すこと:午前に架電をまとめる

書く形を決めておけば、読む側が状況をつかむのは数十秒です。
道具がそろっても回す人手が足りない場合は、外部の力を借りる方法もあります。

営業のPDCAを外部と回す3つの場面

場面①:新規開拓の型を作りたいとき

新しい売り先を開拓する型がまだない段階では、外部の力を借りて打ち手の幅を広げる選び方もあります。
自社だけで進める場合、試せる打ち手は今いる人の経験の幅が上限です。
外部に頼む場合の分け方を示します。 

外部に頼めること

自社に残すこと

型にするときの注意

最初の接点づくりと日程の調整

商談での提案と受注の判断

断られた理由を自社でも受け取る

話し方や切り口の試し分け

試した結果の評価と次の判断

どの切り口が効いたかを記録に残す

対象の会社の一覧作り

対象を選ぶ条件の決定

条件を変えた理由を残しておく

外部が試した内容を記録として受け取れば、そのまま自社の型に移せます。
型よりも手が足りない場合の課題は、任せる範囲の決め方です。

場面②:人手が足りず回せないとき

人手が足りない時期にPDCAを止めないための手が、一部を外に出す判断です。
日々の実行だけで手一杯になると、評価と改善がいつも後回しになり、PDCAそのものが止まります。
外に出しやすい部分を下に並べます。

・見込み客への最初の連絡と日程の調整
・対象の会社を探して一覧にする作業
・記録の入力と週ごとの集計 

任せた場合でも、振り返りの場には自社の担当が必ず入ってください。
人手ではなく見方が足りないときは、頼む相手の役割も変わります。

場面③:客観的な振り返りが欲しいとき

社内だけの振り返りで、同じ原因ばかり挙がっていませんか?
見方が偏ってきた時期は、外部の目を入れる場面です。
同じ顔ぶれだけで話し合うほど、前回に出た原因をそのまま選びやすくなり、打ち手も似通ってきます。
社内だけで振り返る場合との違いを並べます。

社内だけの振り返りで起きること

外部を入れる効果

頼むときの確認点

前回と同じ原因が繰り返し挙がる

見落としていた段階を指摘される

何を見て判断するかを先に聞く

発言する人が固定される

立場の違う視点が加わる

自社の記録をどこまで見せるか決める

打ち手が過去のやり方に寄る

他社で試された打ち手を知れる

自社に合う形に直す前提で聞く

外部の指摘を受け取る前提で記録を整えておけば、話し合いは短時間で済む形です。
ここまでの内容をふまえ、最後によくある質問に答えます。

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営業のPDCAに関するよくある質問

営業のPDCAは意味がないと言われるのはなぜ?

意味がないと言われるのは、回し方がずれたまま形だけ続いている場合が多いからです。
よく挙がる批判は3つあります。
1つ目は、計画に時間をかけすぎて動き出しが遅れるという批判です。
2つ目は変化の速い場面で計画がすぐ古くなる点、3つ目はCheckが数字の点検で終わり学びが残らない点です。
どの批判も、PDCAそのものではなく回し方に向いています。
計画を1つの課題に絞り、1週間で試せる大きさにしておくことが、動き出しの遅さへの答えです。
評価を点検で終わらせず、仮説が当たったかどうかを見る場にすれば、学びが残ります。
PDCAの元をたどると、品質管理で知られるデミングはPDSAという呼び方を使っていました。
Study(学ぶ)を置いたのは、結果を予測し、実際との違いから学ぶ姿勢を大事にしたからです。
(参考:The W. Edwards Deming Institute)
点検で終わらせず学びに変える回し方なら、PDCAは今も使えます。
回し方さえ合えば、人数が少ない会社でも同じように回せます。

営業のPDCAは1人でも回せる?

営業のPDCAは、1人でも回せる進め方です。
ただし、一緒に振り返る相手がいない分だけ甘さが出やすくなります。
記録と振り返りの時間を自分で先に決めて守ることが、1人で回すときの前提です。
続けるための工夫を挙げます。

・行動と結果を毎日記録に残す
・週に1回、振り返りの時間を先に予定へ入れる
・月に1回、社外の人に記録を見せて意見をもらう

1人だと判断が甘くなりやすいため、数字の基準を先に決めておいてください。
経験の浅い人が回す場合は、支える人の役割が変わります。

新人でも営業のPDCAを回せる?

新人でも営業のPDCAは回せます。
ただし、最初に取り組む課題の選び方だけは、上司と一緒に決めてください。
経験が少ないうちは、どの数字から手をつければよいのかを自分では判断しにくいためです。
たとえば、商談の数が足りない新人が、目の前の作業である提案資料の作り込みを課題に選ぶ場合があります。
課題を選ぶところだけを上司が手伝い、次に試す打ち手は本人に考えてもらいます。
打ち手まで上司が決めてしまえば、本人の中に残る判断の経験はゼロです。
選び方を一度覚えれば、新人でも自分で回す形に移せます。
自社だけで進めるのが難しい場面は、手順と続け方が見えた後も残る課題です。

営業のPDCAでお困りのことがあればスタジアムに無料で聞いてみよう!

PDCAを回そうと決めたのに、週次の会議が数字の報告で終わっていませんか?
記録も振り返りも続かず、やり方が悪いのか自信を持てない気持ちはよくわかります。
営業のPDCAは手順を知るだけでは回らず、課題の絞り方と振り返りの型で結果が変わります。
だからこそ、自社の回し方を外の目で点検し、続く形に整えることが大切です。
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【職種別23選】チームリーダー目標設定・9つの型・例文付き
【36選・職種別役職別】目標管理シート振り返り例文・効果的な5つの方法
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【38社比較】インサイドセールス代行の費用相場・料金を格安に抑える7つのコツ
【35社比較】ゴリゴリの営業会社一覧・営業代行会社の選び方7つの判断基準
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SaaS営業の質を高める戦略立案7つの手順・13の重要KPIと成果を出す21のアプローチ
IT営業はやめとけ・きついの裏の真実ミスマッチを防ぐ9つの対策・市場価値を高める13のメリット
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営業代行のデメリットを回避する15の技法・本質的な7つの理由
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24選オンラインセールス代行会社一覧・選び方8つの判断基準・メリット外注費用相場
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インサイドセールスの質を高めるインバウンド戦略 含めたい7つの要素・作り方・21の手順
AI×インサイドセールスで成果を出す15のポイント・従来の営業がうまくいかない7つの課題
15の特徴・インサイドセールスに向いている人の適性・未経験から成果を出す7つの手順
目的別15・インサイドセールスは将来性高い7つの理由・営業必須スキル完全版
目的別15選インサイドセールス効率化の成功法・7つの必須ツールと導入手順
21の手順 インサイドセールスのやり方・立ち上げ方法・成果を最大化する7つのコツ・完全解説
インサイドセールスとフィールドセールスの7つの違い・営業体制の構築で活かす15のポイント
インサイドセールス代行の外注費用相場・質を高めるための7つの基準・8視点徹底比較
インサイドセールスやめとけの真実?7つの理由とうまくいかない時の3つの対処法・7つの成功手順
インサイドセールスとインバウンド営業13の違い・組織の営業力を最適化する7つの手順
インサイドセールス・トークスクリプト例文集・うまくいかない理由とアポ率を高める21のコツ
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【施策別23選】リードナーチャリング成功事例・5カテゴリの共通成功5ポイントとKPI設計 
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SDRとBDRの違い13選・アウトバウンドの手法と使い分け・立ち上げ手順を徹底解説
27選法人営業スキル一覧・営業プロセス別の活用法と組織で底上げする方法 
SQL・MQLの違い13選|BtoB現場の判定パターン早見表とスコアリング設計5ステップ 
再委託と外注の違い13選・基礎知識5つと契約で失敗しない7つの注意点を徹底解説 
人手不足で営業ができない5つの原因と対策15選・少人数でも成果を上げる方法 
人的リソースの最適化・不足の7つの原因と確保を強化する方法13選・失敗しない進め方 
営業力がある人の特徴33選・5つのカテゴリ別に徹底解説・今日から実践できる高め方 
【19の方法】営業かけるとは・手法の全体像と選び方・成果を出すための5つのコツ 
21選営業体制の構築と強化方法・属人化を脱却し仕組みで成果を出す実践ガイド 
【メリット11選・ツール17選】営業の自動化とは・仕組みと選び方をまとめて解説 
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7つの計算式?LTVの算出方法・テンプレ・具体例付きで解説 
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31選・商談獲得サービスをタイプ別に徹底比較・料金体系や選び方・導入メリットも解説
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