11の違い・カスタマーサクセスと営業の違いとは・連携メリットと向いている人を解説
カスタマーサクセスと営業の違いを11の観点で比較し、連携のコツまで解説します。
・カスタマーサクセスと営業の11の違い(目的・KPI・フェーズ)
・連携メリットと業務範囲の分け方(解約率・LTV・THE MODEL)
・どちらが向いているかと年収の傾向(向いている人・スキル・将来性)
現場の営業担当者だけでなく、営業責任者必見の内容です。
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カスタマーサクセスとは
SaaSの普及で注目が集まるカスタマーサクセスは、顧客の成功を支援して継続利用を促す役割です。
営業との違いを押さえる前に、まずは職種の全体像を整理します。
定義:カスタマーサクセスの目的
そもそもカスタマーサクセスは、何を目的とした職種なのでしょうか。
目的は、顧客が製品を使って成果を出す状態をつくることにあります。
導入後に放置せず、利用状況を見ながら顧客が成果を出せるよう継続的に伴走する役割を担います。
解約を防ぎ、継続利用とLTV(顧客が生涯に生む利益)の最大化につなげる点が軸です。
言葉は知っていても、営業との線引きが曖昧なまま使っている現場は多いものです。
目的を分解すると、次の3つに整理できます。
・オンボーディング支援:導入初期に使い方を定着させ、早期に効果を実感してもらう
・活用促進:利用データを見ながら、成果が出る使い方へ導く
・解約防止と拡大:継続を支え、アップセル(上位プランへの引き上げ)やクロスセルの土台をつくる
目的を「顧客の成果」に置く点こそ、売って終わりの発想との決定的な分かれ目です。
この前提を押さえると、なぜ近年これほど注目されるのかが見えてきます。
背景:近年注目される理由とは
カスタマーサクセスが注目される最大の理由は、ビジネスモデルがサブスクリプション型へ移った点にあります。
製品を売り切る時代から、契約後も使い続けてもらって初めて利益が出る時代へ変わりました。
総務省の調査でも、2024年時点でクラウドサービスを利用する企業は80.6%に達しています。
継続課金が前提になれば、解約をいかに防ぐかが収益を左右する要因です。
売上の伸び悩みを、新規獲得だけで解決しようとして苦しむ企業も増えています。
(参考:総務省 令和7年版 情報通信白書)
だからこそ、既存顧客の成功に投資するカスタマーサクセスへ注目が集まりました。
新規だけに頼る成長の限界こそ、この職種を生んだ背景です。
こうした収益構造の変化は、SaaSという事業形態と深く結びついています。
関係:SaaSとの深い関係
カスタマーサクセスは、SaaSの事業構造と切り離せない関係にあります。
SaaS(ソフトを月額や年額で貸し出す提供形態)は、顧客が使い続けてくれて初めて投資を回収できます。
初年度は獲得コストが先行し、2年目以降の継続でようやく利益が積み上がる仕組みです。
つまり顧客の定着そのものが、事業の生命線です。
その定着を専門に担うのがカスタマーサクセスだと考えると、関係の深さが理解しやすくなります。
両者のつながりは、次の3点に表れます。
・収益が継続前提:解約が増えると、積み上げた売上が一気に崩れる
・成果がデータで見える:利用ログから顧客の状態を把握できる
・改善が回しやすい:機能更新の反応を見て、提案を素早く調整できる
SaaSでは顧客の成功と自社の収益が同じ方向を向く点こそ、この職種の存在意義です。
では実際に、カスタマーサクセスはどのような業務を担うのでしょうか。
全体像:主な業務内容の全体像
カスタマーサクセスの業務は、顧客の利用段階に沿って幅広く広がります。
導入直後の立ち上げから活用の定着、契約更新や拡大までを一気通貫で支える点が特徴です。
問い合わせを待つ受け身ではなく、データを起点に先回りで動く点が営業ともサポートとも異なります。
主な業務を段階別に並べると、全体像がつかみやすくなります。
|
業務領域 |
主な内容 |
|
オンボーディング |
初期設定の支援・使い方の教育・早期定着 |
|
活用支援 |
利用状況の分析・改善提案・成功事例の共有 |
|
更新と拡大 |
契約更新の促進・アップセルやクロスセルの提案 |
|
解約防止 |
利用低下の予兆検知・離反顧客へのフォロー |
業務が顧客の時間軸に沿って連続する点が、案件単位で動く営業との大きな違いです。
この全体像を踏まえ、比較相手である営業の役割も整理しておきます。
営業(セールス)とは
役割:営業の主な役割と目的
営業の主な役割は、見込み顧客を契約に結びつけ、売上を生み出すことです。
市場や顧客の課題を捉えたうえで、自社の製品やサービスで解決策を示し、見込み客を受注へと導く役割を担います。
新規の売上をつくる起点として、事業成長を支える存在です。
営業と一口にいっても、担当範囲が会社ごとに違い、定義が揺れる場面は珍しくありません。
役割を整理すると、大きく次の3つに分かれます。
・案件の創出:見込み顧客を発掘し、商談の機会をつくる
・提案と交渉:課題に合わせた提案を行い、条件を調整する
・受注と成約:意思決定を後押しし、契約を締結する
売上の入り口をつくる役割である分、継続を支えるカスタマーサクセスとは大きく異なります。
その営業も、対象や段階に応じて複数の種類に分かれます。
種類:新規開拓営業と既存営業
営業は対象とする顧客によって、新規開拓営業と既存営業に分かれます。
新規開拓が狙うのはまだ取引のない相手であり、既存営業が担うのはすでに契約を結んでいる顧客です。
どちらを主軸に置くかで、求められる動き方も評価のされ方も変わる点が特徴です。
両者の違いを整理すると、次のように比較できます。
|
種類 |
主な対象 |
重視される動き |
|
新規開拓営業 |
未取引の見込み顧客 |
アポ獲得・初回提案・新規受注 |
|
既存営業 |
取引中の既存顧客 |
関係維持・追加提案・継続受注 |
新規開拓は瞬発力、既存営業は関係構築力が問われ、両者の性質は対照的です。
この区分を押さえると、営業の評価指標への理解も深まります。
指標:営業のKPIの考え方
営業のKPI(成果を測る指標)は、最終的な売上から逆算して組み立てる考え方が基本です。
受注金額や受注件数というゴールを頂点に置き、そこへ至る商談数やアポ数を中間指標として管理します。
なぜ逆算するかというと、結果だけを追っても改善の打ち手が見えないからです。
たとえば受注が落ちたとき、商談数まで分解しておけば、入り口とクロージングのどちらが弱いかを特定できます。
KPIは結果指標と過程指標の二層で捉えると、現場の動きと数字がつながります。
売上という単一のゴールに収れんする点が、解約率やLTVを見るカスタマーサクセスとの分かれ目です。
こうした数字を達成するために、営業には固有のスキルが求められます。
スキル:求められる主なスキル
営業に求められるスキルは顧客との接点で成果を引き出す力であり、なかでもヒアリング力と提案力が両輪になります。
課題を聞き出す力と、解決策をわかりやすく伝える力の両方が求められます。
加えて、相手の懸念を解きほぐして合意へ導く交渉力も重要です。
属人的な才能と思われがちですが、多くは訓練で再現できる技術にすぎません。
営業に欠かせないスキルを並べます。
・ヒアリング力:相手の状況と本音の課題を引き出す
・提案力:課題に合わせて解決策をわかりやすく示す
・交渉力:価格や条件の懸念を調整し、合意をつくる
これらのスキルが商談の成果を左右する点に、営業という仕事の核心があります。
ここまでの整理を土台に、いよいよ両者の違いを11の観点で比較します。
カスタマーサクセスと営業の違い11選
両者は同じ顧客と向き合いながら、目的も評価も大きく違います。
ここでは役割・評価・業務・組織の4つの切り口から、11の違いを順番に比較します。
【役割・目的】
違い①:目的とゴールの設定
最初の違いは、仕事のゴールをどこに置くかにあります。
営業のゴールは「契約を取ること」、カスタマーサクセスのゴールは「顧客が成果を出し続けること」です。
入り口を担う営業と、その後を担うカスタマーサクセスとで、見ている時間軸がそもそも違います。
ゴールの置き方を並べると、両者の方向性がはっきりします。
|
観点 |
カスタマーサクセス |
営業 |
|
最終ゴール |
顧客の成功と継続利用 |
契約の獲得 |
|
見る時間軸 |
契約後の長期 |
契約までの短期 |
|
成果の起点 |
顧客のLTV |
受注金額 |
同じ顧客でも、契約の前後でバトンを渡す関係にある点が両者の出発点です。
この時間軸の違いは、担当する顧客フェーズの違いにそのまま表れます。
違い②:担当する顧客フェーズ
2つ目の違いは、顧客のどの段階を担当するかにあります。
営業は契約前の検討フェーズを担い、カスタマーサクセスは契約後の利用フェーズを受け持つ役割です。
THE MODEL(営業工程を分業する考え方)でも、両者は前半と後半に明確に配置されます。
営業が温めて契約まで運び、そこからカスタマーサクセスが定着と拡大を引き継ぐ流れです。
この引き継ぎがうまくいくほど、顧客は迷わず使い始められます。
逆に境目が曖昧だと、契約直後に顧客が放置される空白が生まれます。
前後でフェーズが分かれる構造こそ、両者の連携が欠かせない理由です。
フェーズが違えば、顧客との関係の築き方も自然と変わります。
違い③:顧客との関係の築き方
3つ目の違いは、顧客との関係をどう築くかにあります。
営業は契約に向けて信頼を一気に高めるのに対し、カスタマーサクセスは契約後の時間をかけて信頼を育てます。
短期で意思決定を促す関係と、長期で伴走する関係とでは、距離の取り方が対照的です。
関係構築のスタイルを比べると、次のように整理できます。
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観点 |
カスタマーサクセス |
営業 |
|
関係の期間 |
契約後の継続的な関係 |
契約までの集中的な関係 |
|
接点の頻度 |
定期的で長期にわたる |
商談期間に集中する |
|
信頼の源泉 |
成果を出し続ける実績 |
課題解決の提案力 |
一度きりの成約で終わらせず、長く使い続けてもらう関係を育てる点が後半工程の核心です。
関係の築き方が違えば、当然ながら重視する評価指標も変わります。
【評価・指標】
違い④:重視するKPI指標
4つ目の違いは、成果を測るKPI指標そのものにあります。
営業は受注金額や受注件数を追い、カスタマーサクセスは解約率や継続率を主要な指標として据えます。
売上をつくる仕事と、売上を守り育てる仕事とで、見るべき数字が分かれるためです。
代表的なKPIを並べると、力点の違いが浮かび上がります。
・営業のKPI:受注金額・受注件数・商談化率・新規パイプライン
・カスタマーサクセスのKPI:解約率・継続率・LTV・アップセル率・NPS(顧客推奨度の指標)
同じ「数字を追う」仕事でも、追う方向が新規と継続で正反対になる点が要点です。
指標が違うため、成果を測る評価基準にも差が生まれます。
違い⑤:成果を測る評価基準
5つ目の違いは、成果を「いつ」「何で」測るかという評価基準にあります。
営業は受注という瞬間で成果が確定する一方、カスタマーサクセスは継続の積み重ねで成果が見えてきます。
短期で白黒がつく評価と、中長期でじわりと表れる評価とでは、性質がまるで違う点が特徴です。
評価基準の違いは、以下のように分かれます。
|
観点 |
カスタマーサクセス |
営業 |
|
成果が出る時間 |
数カ月から年単位で積み上がる |
受注した時点で確定する |
|
測る対象 |
継続率や利用の定着度 |
売上金額や達成率 |
|
評価の見え方 |
緩やかで連続的 |
短期で明確 |
成果が表れるまで時間がかかるぶん、この職種の貢献は数字に出にくい側面があります。
この評価のされ方の差は、報酬や評価制度の設計にも影響します。
違い⑥:報酬と評価制度の体系
6つ目の違いは、報酬と評価制度の組み立て方にあります。
営業はインセンティブ(成果に応じた歩合)の比重が大きく、短期成果が報酬へ直結しやすい体系です。
一方でカスタマーサクセスは、成果が中長期で表れるため、固定給を厚めにして安定的に評価する設計が主流です。
仮にカスタマーサクセスへ営業と同じ短期歩合を持ち込むと、目先の契約に意識が偏ってしまいます。
すると本来の役目である顧客の成功支援が後回しになり、かえって解約を招きかねません。
だからこそ、継続率やLTVといった中長期の指標を評価へ織り込む工夫が欠かせません。
報酬体系が役割の時間軸に合わせて設計される点に、制度づくりの勘所があります。
評価の仕組みが違えば、日々こなす業務の中身も大きく変わります。
【業務・進め方】
違い⑦:日々の主な業務内容
7つ目の違いは、毎日の業務として何に時間を使うかにあります。
営業は商談や提案に時間を割き、カスタマーサクセスは利用状況の確認や活用支援に時間を割きます。
売上をつくる動きと成果を定着させる動きとで、1日の過ごし方が分かれる点が特徴です。
それぞれの主な業務を並べると、違いがつかみやすくなります。
|
観点 |
カスタマーサクセス |
営業 |
|
中心業務 |
オンボーディング・活用支援・更新対応 |
新規開拓・商談・クロージング |
|
起点 |
利用データと顧客の状態 |
見込み顧客のリスト |
|
ゴール行動 |
顧客の定着と拡大 |
契約の締結 |
商談で売る仕事と伴走して定着させる仕事とで、業務の重心は前後に分かれる構図です。
業務の中身が違えば、顧客への接し方そのものも変わります。
違い⑧:顧客へのアプローチ
8つ目の違いは、顧客へどう働きかけるかというアプローチにあります。
営業は自社から提案を仕掛けるプッシュ型、カスタマーサクセスはデータを見て先回りする伴走型が中心です。
売り込みではなく、顧客が成果を出す手助けを起点に動く点がカスタマーサクセスの持ち味です。
アプローチの違いを具体的に挙げます。
・営業:見込み顧客へ能動的に接触し、提案して契約を促す
・カスタマーサクセス:利用データから課題を察知し、改善策を先回りで届ける
同じ「顧客に働きかける」でも、契約を促すか成功を促すかで方向が異なります。
アプローチが違えば、求められるスキルにも差が出ます。
違い⑨:求められる主なスキル
9つ目の違いは、仕事で武器になるスキルセットにあります。
重視されるのは、営業なら提案力や交渉力、カスタマーサクセスなら分析力や課題解決力です。
人を動かして契約を勝ち取る力と、データを読み解いて成果へ導く力とでは、伸ばすべき技術が枝分かれします。
求められるスキルを比べると、次のように整理できます。
|
観点 |
カスタマーサクセス |
営業 |
|
中核スキル |
データ分析・課題解決・関係構築 |
提案力・交渉力・クロージング |
|
重視する力 |
顧客の成果を設計する力 |
意思決定を促す力 |
|
必要な知識 |
製品の深い活用知識 |
業界と競合の知識 |
契約を勝ち取る力と成果を継続させる力とでは、伸ばすべき方向が逆です。
スキルの違いは、所属する組織の体制にも反映されます。
【組織・キャリア】
違い⑩:組織の体制と人員配置
10個目の違いは、組織の中でどう配置されるかにあります。
営業部門は売上目標を軸に編成され、カスタマーサクセス部門は顧客の継続を軸に編成されます。
近年はTHE MODELの考え方が広がり、マーケティングから営業、カスタマーサクセスまでを分業する体制が増えました。
組織上の位置づけを並べると、役割分担が見えてきます。
・営業:売上目標ごとにチームを編成し、新規と既存で担当を分ける
・カスタマーサクセス:顧客の規模や契約フェーズごとに担当を割り当てる
売上で割る組織と顧客の継続で割る組織では、人の配置の発想がまるで違います。
組織での立ち位置が違えば、そこから描けるキャリアの道筋も変わります。
違い⑪:描けるキャリアの道筋
最後の違いは、その先に描けるキャリアの広がりにあります。
営業は営業マネージャーや事業責任者へ、カスタマーサクセスは部門責任者や顧客基盤を統括する役割へと広がります。
どちらも顧客理解という共通の土台を持つため、両職種を行き来するキャリアも現実的です。
たとえば営業で受注の勘所をつかんだ人が、カスタマーサクセスで継続支援の専門性を重ねる道もあります。
逆に顧客の成功を深く知るカスタマーサクセス経験者が、提案力を武器に営業へ移る例も見られます。
キャリアが一方通行ではなく、相互に行き来できる点が両職種の魅力です。
ここまでで11の違いを押さえたうえで、混同しやすいカスタマーサポートとの違いも整理します。
カスタマーサポートとの違い
違い①:サポートとの目的の違い
カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、目的の向きが正反対です。
サポートは顧客の困りごとに応える受け身の対応、カスタマーサクセスは成果へ導く能動的な支援を目的にします。
問題が起きてから動くか、問題が起きる前に動くかという起点の差です。
目的の違いを対比します。
|
観点 |
カスタマーサクセス |
カスタマーサポート |
|
目的 |
顧客の成果と継続利用 |
問い合わせの解決 |
|
動き方 |
先回りで能動的 |
問題発生後に受動的 |
|
成果の指標 |
解約率やLTV |
解決時間や対応満足度 |
困りごとを消す仕事と成功を生み出す仕事とでは、目指す到達点が違います。
目的が違えば、顧客に向き合う姿勢にも差が生まれます。
違い②:顧客対応の姿勢の違い
両者を分けるのは、顧客に向き合う姿勢の能動性です。
サポートは問い合わせを待って正確に応える姿勢、カスタマーサクセスは課題を探して先に動く姿勢を取ります。
どちらが優れているという話ではなく、役割に応じて求められる構えが違うだけです。
たとえば利用が落ちている顧客に対し、サポートは連絡を待ち、カスタマーサクセスは自ら声をかけます。
この能動と受動の差こそ、日々の動き方を根本から分ける要因です。
姿勢の違いは、それぞれを評価する指標の置き方にも表れます。
違い③:評価指標の置き方の違い
評価指標の置き方にも、両者の役割の違いがはっきり出ます。
サポートは対応の速さや解決率で測り、カスタマーサクセスは継続率やLTVで測る点が対照的です。
1件ずつの対応品質を見るか顧客全体の成功を見るかという、視野の差が背景にあります。
評価指標を並べると、次のように対比できます。
|
観点 |
カスタマーサクセス |
カスタマーサポート |
|
主要指標 |
解約率・継続率・LTV |
一次解決率・応答時間 |
|
評価の単位 |
顧客の成功という結果 |
問い合わせ一件ごとの品質 |
|
時間軸 |
中長期 |
即時から短期 |
対応の質を測る指標と成功の度合いを測る指標は、見ている範囲がそもそも別物です。
3つの役割を区別できたところで、営業とカスタマーサクセスが連携するメリットを整理します。
カスタマーサクセスと営業が連携する3つのメリット
メリット①:顧客の解約率を下げる
連携で最も大きなメリットは、何といっても顧客の解約率を下げられる点でしょうか。
営業が契約時につかんだ顧客の期待を、カスタマーサクセスへ正確に引き継げば、導入後のギャップが減ります。
期待と現実のズレこそが解約の主因であり、そこを連携で埋められる効果は小さくありません。
解約率がどう下がるかを、項目とベネフィットで示します。
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項目 |
メリット |
ベネフィット |
|
期待値の共有 |
契約時の約束を引き継げる |
導入後の失望を防ぐ |
|
課題の早期把握 |
営業が知る背景を活用できる |
離反の予兆に先回りできる |
|
一貫した対応 |
担当が変わっても文脈が続く |
顧客の安心感が高まる |
契約時の文脈を途切れさせないことが、解約防止の第一歩です。
解約を抑えられれば、その先には良質な顧客紹介という次のメリットが見えてきます。
メリット②:良質な顧客紹介が増える
連携の2つ目のメリットは、良質な顧客紹介が増える点にあります。
カスタマーサクセスの支援で成果を実感した顧客は、自然と前向きな評価を周囲へ広めてくれる存在です。
その満足の声を営業が紹介や事例づくりへつなげれば、新規獲得のコストを抑えられます。
紹介から生まれる案件は、すでに信頼の土台があるぶん受注に至りやすい傾向があります。
成功した顧客が次の顧客を呼ぶ好循環も、連携ならではの効果です。
満足が紹介を生み、紹介が新規を呼ぶこの流れは、連携があってこそ機能します。
顧客の成功が次の商談を呼ぶ構造は、売上機会の最大化にも直結します。
メリット③:売上機会を最大化できる
3つ目のメリットは、既存顧客からの売上機会を最大化できる点です。
カスタマーサクセスが顧客の利用状況を把握し、追加提案の好機を営業へ渡せば、アップセルが進みます。
新規獲得より既存拡大のほうが効率的な場面は多く、連携はその効率を一段引き上げる手段です。
売上機会がどう広がるかを、項目とベネフィットで示します。
|
項目 |
メリット |
ベネフィット |
|
利用データの共有 |
拡大の好機を見極められる |
無駄のない提案ができる |
|
最適なタイミング |
成果が出た直後に提案できる |
追加契約の確度が上がる |
|
役割の分担 |
支援と提案を分けて動ける |
顧客の負担を増やさない |
顧客の成功という事実は、次の提案を後押しする何よりの説得材料です。
連携の効果を引き出すには、まず両者の業務範囲を明確に分ける必要があります。
カスタマーサクセスと営業の業務範囲の分け方
分担①:受注前後での役割分担
業務範囲を分ける基本は、受注の瞬間を境にする考え方です。
受注までを営業が担い、受注後をカスタマーサクセスが担うと決めておけば、責任の所在がはっきりします。
この線引きが曖昧だと、契約直後に誰も動かない空白の期間が生まれがちです。
受注前後の役割を切り分けます。
・受注前:営業が課題のヒアリングから提案、契約までを担当する
・受注後:カスタマーサクセスが立ち上げから活用、更新までを担当する
受注を境に責任がはっきり切り替わる設計が、対応漏れを防ぐ第一歩になります。
受注直後に最初の山場となるのが、オンボーディングの担当です。
分担②:オンボーディング担当
オンボーディングは、原則としてカスタマーサクセスが主担当を務めます。
導入初期に使い方を定着させられるかどうかが、その後の継続率を決める重要な工程だからです。
ただし契約内容や顧客の背景は営業が最も詳しいため、立ち上げ初期はとくに両者の連携が欠かせません。
担当の分け方を整理すると、次のように考えられます。
|
担当 |
主な役割 |
|
カスタマーサクセス |
初期設定の支援・使い方の教育・成功指標の設定 |
|
営業 |
契約内容の共有・顧客の期待値の引き継ぎ |
立ち上げの主役を担う一方で、営業からの引き継ぎが成否を左右します。
定着の次に論点となるのが、アップセルをどちらが担うかです。
分担③:アップセルの担当範囲
アップセルの担当は、顧客との関係性に応じて柔軟に決めるのが現実的です。
日常的に接点を持つカスタマーサクセスが好機を見つけ、提案や交渉を営業が担う分業がよく機能します。
誰が起点で誰がクロージングするかを決めておくことが、好機を逃さない鍵です。
分担の型は、次のように考えられます。
・好機の発見:利用状況を知るカスタマーサクセスが担う
・提案と交渉:価格や契約条件は営業が担う
・連携の起点:カスタマーサクセスから営業へ情報を渡すルールを決めておく
発見と提案を分けることで、顧客の成功と売上拡大を両立しやすくなります。
拡大とは逆に、解約の予兆へどう対応するかも分担の要点です。
分担④:解約予兆への対応担当
解約の予兆対応は、カスタマーサクセスが主担当となって先回りで動きます。
利用の低下や問い合わせの減少といったサインを、いち早く捉えて離反が起こる前に手を打つ役割です。
ただし金額や契約に関わる交渉が必要な局面では、営業の関与が効いてきます。
予兆対応の分担は、以下のように整理できます。
|
担当 |
主な役割 |
|
カスタマーサクセス |
利用低下の検知・原因把握・改善提案 |
|
営業 |
契約条件の再交渉・上位者への働きかけ |
予兆を検知する側と条件を動かす側が組むことで、離反を食い止めやすくなります。
役割分担を決めたうえで、連携を成功させる具体的なポイントを押さえます。
連携を成功させる5つのポイント
ポイント①:情報共有を仕組み化する
連携成功の出発点は、情報共有を個人任せにせず仕組みにすることです。
誰が見ても顧客の状況がひと目でわかる状態をつくれば、担当者が変わっても対応が途切れません。
口頭やメールだけの共有は抜け漏れが起きやすく、引き継ぎの空白を生みます。
仕組み化のポイントとして、次の点が挙げられます。
・共有の場を一本化:顧客情報を一つのツールに集約する
・記録のルール化:商談内容や対応履歴の残し方をそろえる
・更新の習慣化:誰がいつ更新するかを決めておく
情報を個人ではなく組織に蓄積できれば、連携は安定して回り始めます。
情報がそろったら、次に決めるべきは引き継ぎの基準を固めることです。
ポイント②:引き継ぎ基準の明確化
連携を滑らかにする鍵は、引き継ぎの基準を明確に定めることです。
どの状態になったら営業からカスタマーサクセスへ渡すのかを言葉にしておけば、判断のばらつきが消えます。
基準が曖昧だと、引き継ぎのタイミングがずれて顧客が放置されがちです。
引き継ぎ基準で決めておきたいのは、次の点です。
|
項目 |
決めておく内容 |
|
タイミング |
契約締結後の何営業日以内に引き継ぐか |
|
引き継ぐ情報 |
顧客の課題・期待値・契約の経緯 |
|
完了の定義 |
どこまで伝われば引き継ぎ完了とするか |
渡す条件と渡す中身をそろえることで、引き継ぎの質が安定します。
引き継ぎの先で両者をつなぐのが、共通のKPIです。
ポイント③:共通KPIを設定する
連携を機能させるには、両者がともに追える共通KPIの設定が欠かせません。
営業とカスタマーサクセスがそれぞれ別の数字だけを見ていると、部門どうしの利害が衝突しやすくなります。
両者にまたがるLTVや継続率を共通の目標に据えることが、足並みをそろえる近道です。
共通KPIの候補としては、以下が挙げられます。
・LTV:顧客が生涯にわたって生む利益
・継続率:契約が更新され続ける割合
・アップセル率:既存顧客からの追加売上の比率
部門をまたぐ数字の共有が、対立を協力へ変える起点です。
共通の数字を決めたら、それを話し合う定例会議が鍵を握ります。
ポイント④:定例会議で連携を保つ
連携を一過性で終わらせないために、定例会議で接点を保つことが重要です。
営業とカスタマーサクセスが定期的に顔を合わせる場があれば、顧客情報の認識ずれをその場で正せます。
会議がないと、引き継ぎ後の状況が共有されず、両部門の距離が開いてしまいます。
定例会議で扱う論点は、次のとおりです。
|
論点 |
話し合う内容 |
|
顧客の状況 |
引き継いだ顧客の定着度や課題 |
|
拡大の好機 |
アップセルやクロスセルの候補 |
|
離反の予兆 |
利用低下が見られる顧客の対策 |
定期的に状況を突き合わせる場が、連携を継続させる仕組みになります。
会議の議論を支えるのが、状況を可視化するツールです。
ポイント⑤:ツールで状況を可視化
最後のポイントは、顧客の状況をツールで可視化することです。
利用データや対応履歴を一画面で見渡せれば、営業もカスタマーサクセスも同じ事実をもとに判断できます。
勘や記憶に頼った連携は、人によって認識がずれ、対応の質も安定しません。
可視化に役立つツールを並べます。
・CRM:顧客との関係や対応履歴を一元管理する
・カスタマーサクセスツール:利用状況や解約予兆を可視化する
・SFA:営業の商談進捗を共有する
同じ画面を両部門が見る状態が、認識のずれを生まない連携を支えます。
ここまでが成功のポイントですが、現実には連携がうまくいかない原因もあります。
連携がうまくいかない原因と対策
原因①:顧客情報が分断される
連携が崩れる最も多い原因は、顧客情報が部門ごとに分断されることです。
営業の持つ商談情報とカスタマーサクセスの持つ利用情報がつながらないと、顧客像が断片的になります。
情報が分かれたままだと、同じ顧客に重複した連絡をしてしまう失敗も起こりがちです。
分断の原因と対処を、表で対応づけます。
|
課題 |
対処法 |
|
ツールが部門ごとに別 |
顧客情報を共通基盤に統合する |
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入力ルールがばらばら |
記録項目と書き方をそろえる |
|
情報の更新が滞る |
更新の担当と頻度を決める |
情報を一つにつなぐことが、分断による対応漏れを防ぐ前提です。
情報の次に問題化しやすいのが、役割の境界の曖昧さです。
原因②:役割の境界が曖昧になる
2つ目の原因は、営業とカスタマーサクセスの役割の境界が曖昧になることです。
どこまでを誰が担うのかが決まっていないと、対応の押し付け合いや抜け漏れが起こりやすくなります。
特に受注直後やアップセルの場面で、担当が宙に浮きやすい点に注意が必要です。
境界を明確にするための対処を以下に挙げます。
・責任範囲の明文化:受注前後の担当を文書で定める
・グレーゾーンの事前合意:判断に迷う場面のルールを決める
・エスカレーションの整備:困ったときの相談先を決めておく
役割を言葉で固定すれば、押し付け合いはおのずと減ります。
境界とあわせて見直したいのが、評価制度の連動です。
原因③:評価制度が連動しない
3つ目の原因は、両部門の評価制度が連動していないことです。
営業が新規受注だけ、カスタマーサクセスが継続だけで評価されると、協力の動機が生まれません。
自分の数字にならない連携は後回しにされ、結果として顧客対応が手薄になります。
評価制度の課題と対処は、次のとおりです。
|
課題 |
対処法 |
|
部門ごとに指標が独立 |
LTVなど共通指標を評価へ加える |
|
連携が評価されない |
引き継ぎや情報共有を評価項目にする |
|
短期成果に偏る |
中長期の継続成果も評価に織り込む |
評価が協力を後押しする設計になって初めて、連携は自走します。
これらの原因を踏まえ、解決の土台となる仕組み作りを考えます。
対策:解決のための仕組み作り
ここまでの原因に共通する解決策は、連携を個人の善意に頼らない仕組みへ落とし込むことです。
情報基盤の統合、役割の明文化、評価制度の連動という3つを同時に整えれば、連携は安定して回り始めます。
どれか一つだけでは効果が限られ、たとえば情報を統合しても評価が伴わなければ協力は続きません。
逆に3つがかみ合えば、担当者が代わっても連携の質が保たれます。
大切なのは、現場の頑張りに依存せず、組織の構造として連携が起きる状態をつくることです。
仕組みで連携を支える発想こそが、原因の根を断つ最善策です。
連携の全体像をつかんだうえで、自分はどちらの職種に向いているのかを考えます。
カスタマーサクセスと営業のどちらが向いているか
特徴①:カスタマーサクセス向きの人
カスタマーサクセスに向いているのは、顧客の成功を地道に支えることへ喜びを感じる人です。
短期の数字より、顧客と長く関わって成果が育つ過程にやりがいを見出せるかが分かれ目になります。
データを読み解き、相手の課題に先回りする姿勢も適性の一つです。
向いている人には、次のような特徴があります。
・伴走志向:顧客の成功を長期で支えることに喜びを感じる
・分析好き:データから課題や好機を見つけるのが得意
・調整力:社内外を巻き込んで物事を前へ進められる
成果が出るまで粘り強く付き合える資質は、この職種で大きな強みです。
反対に、営業に向いている人の特徴も見ておきます。
特徴②:営業に向いている人の特徴
営業に向いているのは、目標に向かって成果を取りにいく推進力のある人です。
新規の相手にも臆せず踏み込み、断られてもすぐ切り替えて次へ進める前向きさが武器になります。
明確な数字を追い、達成の手応えをエネルギーに変えられるかが大きな分かれ目です。
営業向きの特徴を以下にまとめます。
|
特徴 |
内容 |
|
目標志向 |
数字目標の達成に強い意欲を持てる |
|
行動力 |
新規接触や提案を臆せず実行できる |
|
切り替え力 |
失注しても引きずらず次へ動ける |
成果を勝ち取る推進力こそ、営業という仕事の原動力です。
向き不向きはあっても、両者には共通して必要なスキルも存在します。
共通点:両者に共通するスキル
カスタマーサクセスと営業には、職種を問わず共通して求められるスキルがあります。
どちらも顧客と深く向き合う仕事である以上、相手を深く理解する力と信頼を築く力こそが土台です。
この共通基盤があるからこそ、両職種の間でキャリアを行き来できます。
共通して効くのは、次のようなスキルです。
・傾聴力:相手の課題や本音を引き出す
・コミュニケーション力:立場の違う相手と信頼を築く
・課題発見力:表面の要望の奥にある本質をつかむ
顧客理解という共通の軸があれば、どちらの職種でも成果につながります。
これらを踏まえ、転職時に確認しておきたい点を押さえます。
確認点:転職時に確認すべき点
カスタマーサクセスや営業へ転職する際は、求人票の言葉だけで判断しないことが大切です。
同じ職種名でも、企業によって担当範囲や評価基準が大きく異なるためです。
たとえばカスタマーサクセスと書かれていても、実態はサポート中心という求人も見られます。
入社後のギャップを避けるには、配属後の業務の実態を具体的に確かめておく姿勢が欠かせません。
評価制度やインセンティブの仕組みも、働き方を左右する重要な確認材料です。
求人名ではなく中身を見極める目が、納得のいく転職につながります。
職種選びとあわせて気になるのが、年収と将来性です。
カスタマーサクセスと営業の年収と将来性
年収:平均年収の傾向を比較
カスタマーサクセスと営業の年収は、職種よりも成果や経験で大きく動く傾向があります。
営業はインセンティブの比重が高く、成果次第で年収が大きく伸びる余地があります。
一方でカスタマーサクセスは固定給中心が多く、安定しやすい反面で上振れは緩やかです。
たとえば厚生労働省の職業情報では、IT分野のコンサルティング営業の平均年収は659.4万円とされています。
(参考:厚生労働省 職業情報提供サイト job tag)
カスタマーサクセスは新しい職種ゆえ公的な統計が乏しく、求人ベースでおおむね400万円台から700万円台が中心です。
成果で伸びる営業と安定しやすいカスタマーサクセスという、傾向の差を押さえておく価値があります。
年収とあわせて見ておきたいのが、職種としての市場価値です。
価値:市場価値の高まる職種
カスタマーサクセスは、近年とくに市場価値が高まっている職種です。
サブスクリプション型のビジネスが広がるほど、継続を支える専門人材への需要はいっそう増えるためです。
まだ経験者が少ないぶん、実績を持つ人材は転職市場で重宝されます。
市場価値が高まる理由を見ておきます。
・需要の拡大:SaaS企業の増加で募集が増えている
・人材の希少性:経験者がまだ少なく供給が追いつかない
・成果の可視化:解約率やLTVで貢献を示しやすい
専門性と希少性を兼ね備える点が、この職種の価値を支えます。
高まる価値を踏まえ、今後のキャリアの展望を考えます。
展望:今後のキャリアの展望
両職種のキャリアは、今後さらに選択肢が広がる見通しです。
営業で培った提案力もカスタマーサクセスで培った顧客理解も、どちらも他職種で通用する汎用的な力だからです。
たとえば両方を経験した人材は、事業全体を見渡せる責任者候補として重宝されます。
顧客の獲得から成功までを一気通貫で理解する人材は、経営に近い立場でも通用する存在です。
職種の枠を越えて経験を重ねるほど、キャリアの天井は高くなります。
獲得と継続の両面を語れる人材こそ、これからの市場で強く求められる存在です。
ここからは、実際にカスタマーサクセスを導入する進め方を確認します。
カスタマーサクセス導入の進め方
手順①:現状の課題を整理する
導入の第一歩は、自社が抱える顧客対応の課題を整理することです。
解約が多いのか活用が進まないのか、まずは課題の所在をはっきり見極めてから手を打つ必要があります。
課題を曖昧にしたまま体制だけ整えても、成果にはつながりません。
現状把握では、次の観点が欠かせません。
・解約の実態:どの段階で顧客が離れているか
・活用の状況:製品が十分に使われているか
・対応の漏れ:契約後に放置される顧客がいないか
現状を正しくつかむことが、的を射た導入計画の出発点です。
課題が見えたら、次に目標とKPIを定めます。
手順②:目標とKPIを決める
次の手順は、導入で目指す目標と、それを測るKPIを決めることです。
解約率を何%まで下げるのかといった具体的な数値目標があれば、施策の良し悪しを判断できます。
目標がないまま動くと、活動が成果につながったかどうかを検証できません。
設定する項目は、次のとおりです。
|
項目 |
決める内容 |
|
目標 |
解約率の改善幅や継続率の到達点 |
|
主要KPI |
解約率・継続率・LTV・アップセル率 |
|
測定の頻度 |
月次や四半期など振り返りの周期 |
測れる目標を据えておけば、改善のサイクルを回せます。
目標が固まったら、それを実現する体制とツールを整えます。
手順③:体制とツールを整える
3つ目の手順は、目標を実現するための体制とツールを整えることです。
担当者を置き、顧客の状況を可視化するツールまでそろえて、初めて継続的な支援が回り始めます。
人もツールもないまま兼任で進めると、対応が場当たり的になりがちです。
整えるべき要素は以下の3つです。
・担当体制:専任か兼任か、担当する顧客の範囲を決める
・ツール:利用状況や解約予兆を見えるようにする
・連携ルール:営業との情報共有や引き継ぎの手順を定める
支える人と仕組みをそろえることで、施策を続ける体制が整います。
体制を動かし始めたら、効果を測定して改善へつなげます。
手順④:効果を測定し改善する
最後の手順は、施策の効果を測定し、改善を繰り返すことです。
設定したKPIを定期的に振り返り、うまくいった点と課題を一つずつ丁寧に切り分けて次へ生かします。
測りっぱなしで改善しなければ、導入の効果はやがて頭打ちです。
たとえば解約率が下がらなければ、オンボーディングの内容まで遡って原因を探ります。
小さな改善を積み重ねるほど、顧客の成功は着実に増える点が特徴です。
測定と改善の循環こそが、カスタマーサクセスを成果へ結びつける仕組みになります。
こうした導入が特に効果を発揮する企業には、いくつかの共通した特徴があります。
カスタマーサクセスを導入する企業の特徴
特徴①:サブスク型の事業モデル
カスタマーサクセスが効果を発揮する代表が、サブスクリプション型の事業モデルです。
継続課金で収益が積み上がる構造ほど、解約を防ぐ取り組みがそのまま将来の利益の確保へ直結します。
売り切り型と違い、契約後の関係づくりが売上を左右するためです。
向いている事業の特徴を挙げます。
・継続課金:月額や年額で料金が発生する
・積み上げ収益:契約が続くほど利益が増える
・解約の影響大:離反が収益に直接響く
継続が前提の収益構造ほど、カスタマーサクセスの価値が大きくなります。
サブスク型と近い性質を持つのが、継続利用を前提とする商材です。
特徴②:継続利用が前提の商材
継続して使われることを前提とする商材も、カスタマーサクセスと相性がよい領域です。
一度きりの販売ではなく、使い続けてもらうほど顧客にとって価値が高まる商材が当てはまります。
こうした商材では、顧客が使いこなせるかどうかが継続を大きく左右します。
たとえば業務システムや学習サービスのように、定着して初めて効果が出る商材が代表例です。
使い始めの定着支援が、その後の継続率を分ける分岐点です。
継続を前提とする事業は、自然とLTVを重視する経営へ向かいます。
特徴③:LTVを重視する経営
LTVを経営の中心指標に据える企業も、カスタマーサクセスを導入する典型です。
一度の取引額よりも、顧客が生涯にわたって生み出す利益を最大化する発想で事業を組み立てます。
この発想に立つと、既存顧客の継続と拡大を担う専門部隊が欠かせなくなります。
LTV重視の経営に見られる特徴は、次のとおりです。
|
特徴 |
内容 |
|
指標の置き方 |
単発の売上よりLTVを重視する |
|
投資の対象 |
既存顧客の成功支援に資源を割く |
|
評価の軸 |
継続率やアップセル率を経営指標にする |
顧客の生涯価値を見据える経営ほど、カスタマーサクセスが戦略の核になります。
最後に、カスタマーサクセスと営業の違いについてよくある質問に答えます。
カスタマーサクセスと営業の違いに関するよくある質問
カスタマーサクセスは営業職に含まれる?
カスタマーサクセスは、一般的に営業職そのものには含まれません。
売上の獲得を主目的とする営業に対し、カスタマーサクセスは顧客の成功と継続を目的とするためです。
ただしアップセルなど売上に関わる業務を担う場面もあり、営業的な要素を持つ職種ではあります。
目的は異なるものの、顧客の成果を通じて売上に貢献する点では地続きの関係にあります。
営業からカスタマーサクセスへの転職は可能?
営業からカスタマーサクセスへの転職は、十分に可能です。
営業で培った顧客理解やヒアリング力は、カスタマーサクセスでもそのまま活きます。
実際に、両職種を行き来するキャリアは珍しくありません。
転職で活かしやすい経験としては、次が挙げられます。
・ヒアリング力:顧客の課題を引き出す力がそのまま通用する
・関係構築力:信頼を築く力が継続支援に役立つ
・提案力:アップセルの場面で強みになる
営業経験はカスタマーサクセスでも大きな資産となり、転職のハードルはけっして高くありません。
カスタマーサクセスと営業の兼任はできる?
カスタマーサクセスと営業の兼任は、体制によっては可能です。
特に立ち上げ期の企業では、一人が両方を担うケースも少なくありません。
ただし両職種は目的も時間軸も異なるため、兼任には注意も必要です。
短期の受注目標に追われてしまうと、中長期で取り組むべき顧客支援がどうしても後回しになりがちです。
組織が成長する段階では、役割を分けて専任化するほうが成果は安定します。
兼任は初期の現実解ですが、いずれ分業へ移す前提で設計するのが得策です。
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15の特徴・インサイドセールスに向いている人の適性・未経験から成果を出す7つの手順
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