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準委任契約とは・営業代行で使う3種類と契約書の作り方13項目・トラブル対策

準委任契約の基本と、営業代行の契約書の作り方をまとめて解説します。

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本記事を読むと分かること

・準委任契約と請負・派遣の違いと3つの種類(準委任契約・請負契約・成果完成型)
・営業代行の契約書に入れる13項目と必須の条項(営業代行・契約書・作成)
・偽装請負や中途解除など5つのトラブル対策(偽装請負・中途解除・報酬)

現場の営業担当者だけでなく、営業責任者必見の内容です。
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準委任契約とは・営業代行で使う3つの理由

営業代行を頼むとき、多くの会社が結ぶのが準委任契約です。
まず法律上の位置づけと、営業代行でこの形が選ばれる理由を押さえます。

基礎①:準委任契約の法的な定義

そもそも準委任契約とは、どの法律のどこに書かれているのでしょうか?
答えは民法656条です。
法律行為でない事務の委託を準委任と呼び、委任の規定をそのまま準用する条文です。
営業代行のように売り込みの活動そのものを任せる契約はここに当たり、契約書の題名が業務委託でも扱いは変わりません。
準用される主な条文を挙げます。 

・第644条:委託された仕事を、善良な管理者の注意をもって処理する
・第645条:求めがあればいつでも処理の状況を報告し、終了後は経過と結果を報告する
・第648条の2:成果に対して報酬を払う取り決めも置ける
・第651条:どちらからでも、いつでも解除できる 

(参考:民法|e-Gov法令検索

条文を知らずにひな形を写すと、自社に不利な特約に気づけません。
営業代行でこの形が選ばれるのには、実務的な理由があります。

基礎②:営業代行で選ばれる理由

準委任が選ばれるのは、成果を保証しなくてよいからです。
営業の結果は市況や商材に左右され、代行会社だけで完成を約束できません。
発注側にとっても、進め方を柔軟に変えられる利点があります。 

選ばれる理由

発注側の利点

受託側の利点

完成義務がない

契約の相手を見つけやすい

結果責任を負わずに済む

稼働量で払える

立ち上げ期でも発注できる

収入が読みやすい

いつでも解除できる

合わなければ短期で止められる

相性の悪い案件を抱えない

進め方を任せられる

教育の手間が省ける

自社の型で動ける

成果が出ない月にも報酬が発生するため、完成を約束しない働き方は発注側にとって諸刃の剣です。
似た言葉の委任契約とは、そもそも扱う対象が違います。

基礎③:委任契約との対象の違い

違いは、任せる相手が行うのが法律行為かどうかです。
委任は契約の締結や代理といった法律行為を対象にし、準委任はそれ以外の事実行為を扱います。
営業代行の大半は、この事実行為です。
テレアポや商談の設定、見込み客の掘り起こしは、それ自体では権利や義務を生みません。
だから民法643条の委任ではなく、656条の準委任として整理する形になります。
問題は、代行会社が自社の名前で契約書に押印する場面まで任せた場合です。
ここには委任の要素が混じるため、代理権の範囲と押印できる金額の上限をあらかじめ別に定めておきます。
区別が曖昧なままだと、代行会社が結んだ契約に自社がそのまま縛られる事態も起こり得ます。
任せる範囲の性質を見極める作業が、契約書づくりの出発点です。
性質が分かったところで、他の契約形態との違いを押さえます。

準委任契約と営業代行の3つの契約形態の違い

比較①:請負契約との責任の違い

請負と準委任では、責任の重さはどう変わるのでしょうか?
分かれ目は完成させる義務の有無で、請負は民法632条で完成義務を負い、準委任は644条の注意義務にとどまります。
(参考:民法|e-Gov法令検索
営業代行に完成義務を負わせる契約は、受け手が見つかりません。 

比べる点

請負契約

準委任契約

仕事の完成義務

あり

なし

根拠となる条文

民法632条

民法644条

契約不適合責任

負う

負わない

途中解除の扱い

発注側は損害を賠償して解除

どちらからでも解除できる

営業代行での例

資料10本の納品

架電と商談化の活動

責任の重さを決めるのは契約書の題名ではなく、義務の書き方です。
働き方への口出しが強すぎると、今度は派遣との境目が問題になります。

比較②:派遣契約との指揮命令の差

派遣は、派遣先が働き手に直接指示を出せる仕組みです。
準委任では発注側に指揮命令の権限がなく、訪問の順番や作業の進め方は受託側が自分で決めます。
この一線を越えると偽装請負として行政指導の対象になります。
日々の細かい指示は、契約違反の温床です。
発注側が出してよい依頼と、出せない指示を並べます。 

・出してよい:委託した業務の範囲、報告の頻度、共有する資料の形式
・出してよい:訪問先リストの提供、商材の説明、目標件数の共有
・出せない:出勤時刻や退勤時刻の指定、休憩の取り方の指示
・出せない:担当者の交代命令、他社案件への従事の禁止 

指示の出し方次第で、契約の形は実態から崩れます。
自社で人を雇う場合と何が違うのかも、あわせて確認します。

比較③:雇用契約との働き方の差

雇用契約は労働時間を提供する約束ですが、準委任契約は業務の処理を約束するもので、時間の拘束は対象になりません。
同じ営業活動でも、守るべき法律が丸ごと変わります。 

比べる点

雇用契約

準委任契約

約束の中身

労働時間の提供

業務の処理

指揮命令

会社が出せる

出せない

適用される法律

労働基準法

民法

社会保険

会社が加入させる

各自で加入

残業代

支払い義務あり

発生しない

終わり方

解雇規制がかかる

契約の定めに従う

判断材料になるのは契約書の形式ではなく、現場での扱い方です。
準委任契約そのものにも、選び分けが必要な3つの種類があります。

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準委任契約の3つの種類と選び分け

種類①:履行割合型が向く業務

報酬の根拠を成果ではなく稼働量に置くのが履行割合型で、民法648条が定める原則どおりの型です。
成果が出なくても、稼働した分の報酬は発生します。
立ち上げ期の営業代行は、ほぼこの型が起点です。
この型が合う業務には、共通する特徴があります。

・成果が出るまでの期間が読みにくい
・新商材で、勝ちパターンがまだ固まっていない
・架電や訪問の量そのものを増やしたい
・受注の可否が、代行会社の力量以外に左右される

量を買う契約だからこそ、報告の質が費用対効果を左右します。
反対に、結果そのものを買いたい場合は別の型を選びます。

種類②:成果完成型が向く業務

一方の成果完成型では決めた成果が出て初めて報酬が発生し、引き渡せる成果があることが前提です。
民法648条の2が根拠にあたります。
営業活動を成果で測るには、定義の作り込みが要ります。 

成果の置き方

定義の例

支払いの起点

アポイント獲得

先方の担当者が日時を承諾した時点

実施の翌営業日

商談化

提案書を提示し、検討の意思を得た時点

月末締め

受注

発注書または契約書を受領した時点

入金確認後

資料の納品

指定様式で提出し、検収を通った時点

検収後

成果の定義は、報酬の計算式より先に決める項目です。
量と成果のどちらも捨てがたい場合は、線引きの工夫が要ります。

種類③:複合型で分ける線引き

実務でよく使われるのは、月額の基本報酬に成果分を上乗せする複合型です。
法律に複合型という区分はなく、契約書の書き方で作り込む必要があります。
上乗せの条件が甘いと、支払いだけが膨らみます。
線引きの基本は、代行会社が自力で動かせる範囲を基本報酬に置く考え方です。
先方の都合に左右される受注や契約金額は、成果報酬に回します。
たとえば架電数と商談化は基本報酬、受注は1件あたりの成果報酬という配分が現実的です。
基本報酬が低すぎると代行会社の担当が薄くなり、高すぎると成果への意識が鈍ります。
配分の目安は基本7割・成果3割で、3か月ごとに実績を見ながら比率を見直す運用が無理のない形です。
配分は固定せず、商材の売れ方に合わせて動かす前提で組みます。
型が決まったら、いよいよ契約書の中身を1条ずつ作ります。

営業代行の準委任契約書の作り方13項目

ここからは、営業代行の準委任契約書に必ず入れておきたい13項目を、順番に確認します。
どの項目も、抜けたときに実際のトラブルへ直結する条項です。
 

【基本条項】

項目①:契約の目的を書く

目的条項は契約全体の解釈の土台であり、他の条項に書き漏れがあったとき意味を補う手がかりになります。
形式的な一文で済ませると、争いのときに何の役にも立ちません。
盛り込むべき要素は大きく4つです。

・委託する業務の分野:新規開拓か既存深耕か
・委託の狙い:商談数の確保か、受注額の底上げか
・対象とする商材と営業エリア
・両者が協力して進める姿勢 

責任の範囲を決めるのは、目的条項の書き方です。
目的が定まったら、任せる作業そのものを条文で特定します。

項目②:委託業務を特定する

委託業務の特定は13項目のなかで最も揉めやすく、書き方が粗いと頼んでいない作業まで追加費用を請求されます。
業務は動詞で書くと、範囲がはっきりします。

書き方

悪い例

良い例

対象の範囲

営業に関する業務

指定リストへの架電と日程調整

数量の目安

適宜実施

月200件の架電を目安とする

作業の主体

双方で協力

リスト作成は委託者、架電は受託者

除外する作業

記載なし

見積書の作成と価格の決裁は含まない

変更の手順

記載なし

書面の合意で別紙を差し替える

範囲を狭く書くほど、追加の相談がしやすくなります。
どれだけの期間任せるかも、続けて条文にします。

項目③:契約期間を定める

契約期間は短く始めて更新で伸ばす形が基本で、営業代行は相性が読めないため1年で縛ると身動きが取れません。
初回は3か月から6か月に収めるのが無難です。
期間を決めるときは、次の点を条文に落とします。

・始期と終期を年月日で書く
・更新の方法:自動更新か、書面の合意か
・更新しない場合の通知期限:満了の1か月前など
・3か月を超えるかどうかで、印紙税の判断が変わる 

(参考:No.7104 継続的取引の基本となる契約書|国税庁
期間の決め方は、収入印紙の要否まで動かします。
期間中に他社へ業務が流れないよう、再委託の扱いも決めます。

項目④:再委託の可否を書く

再委託は、原則禁止としたうえで例外を認める書き方が安全です。
無条件に認めると、面談した担当者ではない人物が自社の顧客に接触します。
顧客リストの管理が届かなくなる点が、最大の懸念です。
一方で、全面禁止にすると受託側は繁忙期に人を足せず、稼働が落ちます。
そこで、事前に書面で承諾を得た場合に限り認めるという条文が実務では多く使われます。
承諾の判断材料になるのは、再委託先の会社名と担当者名、そして担当する範囲です。
さらに、再委託先の行為について受託者が自ら行ったのと同じ責任を負う旨を書き添えておくと、責任の所在がぶれません。
再委託を認めるかどうかは、顧客情報を誰まで触れるかの判断です。
ここからは、業務と報酬に関わる5項目に進みます。
 

【業務・報酬】

項目⑤:稼働時間の基準を置く

準委任では時間の拘束ができないため基準は目安として置き、拘束と受け取られる書き方は偽装請負を疑われます。
時間ではなく、活動量で基準を作るのが安全です。 

基準の置き方

書き方の例

注意点

稼働の目安

月80時間を目安とする

指定・命令の語を使わない

活動量

月200件の架電を目安とする

未達時の扱いも併記する

対応する時間帯

平日9時から18時の間で対応

勤務時間の指定にしない

報告のタイミング

週1回、稼働時間を報告

出退勤の管理にしない

超過の扱い

目安を20%超える場合は事前協議

事後の請求を防ぐ

契約の性質を疑われるかどうかは、言葉の選び方次第です。
稼働の基準が決まったら、報酬の計算式に移ります。

項目⑥:報酬額と算定方法

報酬は、どこまで細かく書けばもめずに済むのでしょうか?
答えは、計算式と締め日と支払日の3点を数字で書くところまでです。
月額いくらとだけ書いた契約書は成果報酬の上乗せが出た月に解釈が割れ、金額より計算の手順を書くことが効きます。

①算定期間を決める:毎月1日から末日まで
②基本報酬を書く:月額◯◯円、消費税は別
③成果報酬の単価と条件を書く:商談化1件につき◯◯円
④締め日と請求書の提出期限を書く:末日締め、翌月5日まで
⑤支払日と振込手数料の負担を書く:翌月末日、手数料は委託者負担 

報酬条項の精度は、毎月の請求作業の手間に直結する部分です。
報酬と混同しやすい経費の扱いも、分けて決めます。

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項目⑦:経費の負担を分ける

経費の条項が無いと報酬に含まれるかどうかで毎月もめ、交通費や通信費は判断の基準が無いと処理が止まります。
実費精算か報酬込みかを、費目ごとに決めます。 

起きやすい問題

原因

契約書での対処

交通費の請求が想定外

上限が無い

月◯◯円を上限とし、超過は事前承認

会食費を請求された

対象が不明

接待交際費は対象外と明記

通信費の按分でもめる

計算根拠が無い

報酬に含むと明記

領収書が出てこない

提出義務が無い

原本の写しの添付を条件にする

実費に消費税が乗る

税の扱いが不明

実費は税込みで精算と明記

経費の扱いは金額より、判断を止めない仕組みづくりの問題です。
支払いの根拠になる報告について、頻度と様式を定めます。

項目⑧:報告の頻度と様式

報告義務は民法645条にあり契約書が無くても発生しますが、頻度と様式を書かなければ受託側の判断に委ねられます。
(参考:民法|e-Gov法令検索
求めたときだけ届く報告では、月末まで状況が見えません。
実務で機能している報告条項には、共通する要素があります。

・頻度:週次で速報、月次で確定値
・様式:委託者が指定する様式による
・項目:架電数、接続数、商談化数、受注数
・提出期限:翌週の第1営業日まで
・定例会:月1回、オンラインで30分

報告の設計は、契約を続けるかどうかの判断材料をつくる作業です。
報告のなかで生まれる資料の扱いも、決めておきます。

項目⑨:成果物の帰属を決める

営業代行でも、資料や台本といった成果物は必ず生まれます。
帰属を決めないと、作った側に著作権が残り、契約終了後に使えません。
自社で使い続けたい資料ほど、条文が必要です。
対象になるのは、提案書やトークスクリプト、架電先リスト、商談の議事録です。

これらを委託者に帰属させる条文を置き、報酬の支払いをもって権利が移る旨を書きます。
あわせて著作者人格権を行使しない旨も入れておかないと、資料を直すたびに承諾が要る状態です。
一方で、代行会社が以前から持つ汎用の型まで自社のものにはできず、既存の資料は対象外と書き添える配慮が要ります。
成果物の条項は、契約が終わった後の使い勝手を決める部分です。
ここからは、リスクと終わり方に関わる4項目です。
 

【リスク・終了】

項目⑩:善管注意義務を明記

善管注意義務は民法644条が定める準委任の中心的な義務で、その職業の人として通常期待される注意を指します。
抽象的な言葉のままでは、違反かどうかの判断が困難です。
契約書では、具体的な行為に落として書きます。

・委託者の指定するトークの範囲を守る
・誇大な説明や事実と異なる説明をしない
・顧客からの苦情は当日中に共有する
・法令および業界の自主規制を遵守する 

義務は言葉ではなく、行為の一覧として書いてこそ機能する条項です。
守るべきものの筆頭である秘密情報の扱いに進みます。

項目⑪:秘密保持の範囲と期間

秘密保持は範囲と期間と例外の3点で組み立て、範囲を広く取りすぎると受託側が守りきれず条文は飾りです。
守れる範囲に絞るほど、条文は実際に効きます。 

決める項目

書き方の例

落とし穴

対象

顧客リスト、価格表、商談内容

すべての情報とすると特定できない

例外

公知の情報、法令に基づく開示

例外が無いと守れない

保管方法

委託者の指定する環境でのみ保管

私物端末の可否が抜ける

期間

契約終了後3年間

無期限は無効と判断される恐れ

終了時の措置

返還または消去し、報告する

消去の証明方法が抜ける

秘密保持の条項は、守れる約束に絞ったほうが強い条文です。
関係を終える場面の条件も、あらかじめ決めておきます。

項目⑫:中途解除の条件と予告

準委任は民法651条によりどちらからでもいつでも解除でき、不利な時期の解除は損害賠償の対象になり得ます。
(参考:民法|e-Gov法令検索
予告期間を決めておけば、突然の打ち切りを防げます。

①予告期間を書く:解除の1か月前までに書面で通知
②即時解除の事由を書く:支払い遅延、法令違反、信用不安
③引き継ぎの義務を書く:商談中の案件の状況を一覧で提出
④精算の方法を書く:既に行った稼働分の報酬を日割りで計算
⑤秘密情報の返還期限を書く:解除の日から2週間以内 

解除条項は、うまくいかなかった場合の被害を小さくする備えです。
最後に、金額の面での備えとなる損害賠償を定めます。

項目⑬:損害賠償の上限を置く

上限を置かない契約書は受託側が署名をためらう典型で、賠償が青天井では引き受ける会社が限られます。
上限は、双方が納得できる水準に置きます。 

懸念される点

具体的な内容

契約書での置き方

賠償が青天井

受託側が契約を避ける

直近12か月の報酬総額を上限

逸失利益まで請求

範囲が読めない

通常生ずる損害に限ると明記

情報漏えい時の扱い

上限で足りない

故意・重過失は上限の対象外

請求できる期間

いつまでも不安定

契約終了後1年以内に限る

委託者側の責任

一方的になりやすい

双方に同じ上限を適用

上限の設定は、契約を結びやすくするための実務的な調整です。
13項目を書いても、ひな形に載りにくい条項がまだ残っています。

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準委任契約書で必ず入れる5つの必須条項

条項①:反社会的勢力の排除

取引先の反社会的勢力チェックは、いまや金融機関との取引条件にもなっています。
各都道府県の暴力団排除条例は、契約書への排除条項の導入を事業者に求める内容です。
営業代行は自社の名前で外部へ接触する仕事のため、ここを空欄にはできません。
相手が反社会的勢力だと後から判明した場合に、無条件で解除できる根拠がないと、関係を切る手続きそのものが長引きます。
対象の範囲は、グループ会社や再委託先にまで広げておくのが安全です。
盛り込む要素は4つに整理できます。

・表明保証:双方が反社会的勢力でないことを互いに約束する
・将来の不関与:契約後も関係を持たないと明記する
・無催告解除:該当が判明したら、催告なしで直ちに解除できる
・賠償の免責:解除で相手に損害が出ても、賠償の責任を負わない

この4つが揃って初めて、疑いが生じた段階で速やかに手を引けます。
相手の素性と同じくらい慎重に扱うのが、預ける顧客の情報です。

条項②:個人情報の取扱い

営業代行に顧客リストを渡す行為は、個人情報の委託そのものです。
個人情報保護法25条は、委託した側に委託先を監督する義務を課しています。
(参考:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)|個人情報保護委員会
口頭の依頼だけでは、監督したと認められない水準です。
委託先で個人情報の漏えいが起きた場合、監督が不十分だと判断されれば、委託した自社の側にも責任が及びます。
条項の粒度は、事故が起きた後の対応速度をそのまま決めます。 

決める項目

書き方の例

あわせて行う実務

取り扱う範囲

指定リストの氏名、社名、電話番号に限る

目的外の利用を禁じる

保管の場所

委託者が指定するクラウド上でのみ保管

私物の端末への保存を禁じる

持ち出しの可否

印刷と外部媒体への複製を禁止

例外は書面で承諾する

再委託の扱い

事前の書面承諾を条件とする

同じ義務を再委託先にも課す

終了時の措置

返還または消去し、完了を報告する

消去の証明書を受け取る

事故時の連絡

発覚から24時間以内に第一報

連絡先の担当者名を書く

決めた内容を年1回でも点検すれば、監督義務を果たした記録として残ります。
情報と同じく整理が要るのが、営業の現場で生まれた作り物の権利です。

条項③:知的財産権の扱い

営業の現場では、こちらの商標やロゴを代行会社が資料に使います。
決めておきたいのは、ロゴや商標を使ってよい媒体と表現の範囲です。
範囲が曖昧だと、想定しない媒体に自社の名前が載ります。
権利の話は、使う側だけの問題ではありません。
代行会社が持ち込んだ資料に第三者の写真や文章が混じっていた場合、責任を問われるのは発注した自社です。

・商標とロゴの使用:委託者が示す媒体と表現の範囲に限る
・持ち込み資料の保証:第三者の権利を侵していないと受託者が保証する
・既存のノウハウ:契約前から各自が持つ権利は移らない
・違反時の対応:権利者から請求が来たら、原因を作った側が対応する 

侵害の責任を負う側を先に決めておくと、請求が届いた日に社内で押し付け合いが起きません。
権利の次に迷いやすいのが、契約後に代行会社を縛れる範囲です。

条項④:競業避止の範囲と期間

営業代行に、競合他社の支援を禁じることはできるのでしょうか?
できますが、範囲と期間を絞らないと条項すべてが無効と判断される恐れがあります。
相手は営業を本業とする会社で、職業選択の自由に関わるためです。
経済産業省の秘密情報の保護ハンドブックは、目的の正当性と制限の範囲、代償の有無から有効性を見ると整理しています。
(参考:秘密情報の保護ハンドブック 参考資料5|経済産業省
4つの軸で条文を絞り込みます。 

絞る軸

広すぎる書き方

現実的な書き方

期間

契約終了後も無期限

契約終了後1年以内

地域

制限なし

委託者が営業する都道府県内

対象

営業代行業務のすべて

同一商材と競合商材に限る

相手

あらゆる企業

委託者が示す競合リストの企業

代償

定めなし

制限期間中は月額の補償を払う

争いになったとき効き目を持つのは、見返りを用意した条項だけです。
縛る条項を置くほど、もめた場合にどこで話し合うかが重みを増します。

条項⑤:協議事項と裁判管轄

契約書の最後に置く協議条項と管轄条項は、形式ではなく実利のための条文です。
協議条項は、書かれていない事態が起きたときに、まず話し合うと約束する定めです。
これがないと、いきなり法的な手続きに進むしかない場面が生まれます。
裁判管轄はどの裁判所で争うかを先に決める条文で、相手の本店が遠いほど移動と時間の負担を左右します。
取り決めがなければ、被告となる相手の所在地の裁判所が原則の窓口です。
自社の本店所在地を専属的な管轄と書き込みます。
双方が譲らない場合には、第三の地の裁判所を選ぶ折衷案も使われます。
最後の2条は、想定外が起きた月の初動を決める条文です。
ここまで挙げた条項は、実際の契約書では決まった順番で並びます。

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準委任契約書のひな形5種類・営業代行ですぐ使える

ひな形①:履行割合型の契約書全文

履行割合型のひな形は、稼働量を軸に条文が組まれます。
以下は1か月80時間の稼働を想定した全文で、甲を発注する企業、乙を営業代行会社として読み替えてください。

第1条(目的)甲は、乙に対し、甲の商品に関する営業活動を委託する。
第2条(委託業務)委託業務は、見込み顧客への電話接触、商談機会の設定、活動記録の報告とする。
第3条(契約期間)本契約の期間は、締結日から6か月間とする。
第4条(稼働時間)乙は、1か月あたり80時間を目安に業務を遂行する。
第5条(報酬)甲は、乙に対し、月額◯◯円(税別)を支払う。
第6条(報酬の精算)稼働時間が月60時間を下回った場合、時間単価により減額する。
第7条(経費)交通費および通信費は乙の負担とし、事前承諾のある広告費は甲が負担する。
第8条(報告)乙は、毎月末日までに当月の活動報告書を甲に提出する。
第9条(善管注意義務)乙は、善良な管理者の注意をもって業務を遂行する。
第10条(秘密保持)乙は、業務上知り得た甲の情報を第三者に開示しない。
第11条(再委託)乙は、甲の書面による事前承諾なく業務を再委託しない。
第12条(中途解除)甲および乙は、1か月前に書面で通知して本契約を解除できる。
第13条(損害賠償)賠償の額は、直近3か月分の報酬額を上限とする。
第14条(反社会的勢力の排除)甲および乙は、自らが反社会的勢力でないことを表明する。
第15条(管轄)本契約に関する紛争は、甲の本店所在地の裁判所を専属的合意管轄とする。

金額と時間の欄を自社の数字に置き換えれば、そのまま締結できます。
成果に報酬をひもづけたい場合は、条文の組み立て自体が変わります。

ひな形②:成果完成型の契約書全文

成果完成型のひな形では、報酬条と検収条が契約の中心に座ります。
以下は商談化20件の達成を成果と定めた全文で、履行割合型との違いは第4条から第6条に集約されます。 

条文

第1条(目的)

甲は乙に対し、甲の商品に関する商談機会の創出を委託する

第2条(成果の定義)

成果とは、甲が定める条件を満たす商談の設定をいう

第3条(成果の件数)

本契約における成果件数は、契約期間中20件とする

第4条(報酬)

甲は、成果1件につき◯◯円(税別)を支払う

第5条(検収)

甲は、報告を受けた日から7日以内に成果の可否を通知する

第6条(支払時期)

検収が完了した月の翌月末日までに指定口座へ振り込む

第7条(契約期間)

本契約の期間は、締結日から6か月間とする

第8条(費用)

成果の創出に要する費用は乙の負担とする

第9条(秘密保持)

乙は、業務上知り得た甲の情報を第三者に開示しない

第10条(再委託)

乙は、甲の書面による事前承諾なく再委託しない

第11条(中途解除)

甲および乙は、1か月前の書面通知により解除できる

第12条(未完成時の報酬)

解除の時点までの成果件数に応じて報酬を精算する

第13条(損害賠償)

賠償の額は、既に支払われた報酬の総額を上限とする

第14条(反社会的勢力の排除)

甲および乙は、自らが反社会的勢力でないことを表明する

第15条(管轄)

甲の本店所在地の裁判所を専属的合意管轄とする

検収でもめる余地を減らすのは、第2条に置く定義の具体性です。
単価を件数の帯ごとに変えたい場合は、報酬条だけを差し替えます。

ひな形③:成果報酬型の報酬条項一式

成果報酬型でもめるのは、金額そのものより計算の順番です。
報酬条は単価と対象と計上の時期をそろえて書き、あわせて計算例を別紙に置くと解釈のずれを防げます。
第◯条(報酬)甲は乙に対し、成果1件につき30,000円(税別)を支払う。
2 前項の成果は、甲の検収により確定した件数をいう。
3 月間の成果が10件を超えた分については、1件につき35,000円とする。
4 本条の報酬には、乙の交通費および通信費を含む。
5 支払は、検収が完了した月の翌月末日までに行う。 

検収件数

内訳

報酬額

1か月目

6件

6件×30,000円

180,000円

2か月目

12件

10件×30,000円と2件×35,000円

370,000円

3か月目

0件

検収の完了なし

0円

数字の入った別紙を契約書に付けると、初月の請求で認識がずれません。
守る情報の範囲を決める段になると、契約書は1本では足りません。

ひな形④:秘密保持契約書の全文

営業代行では、業務委託契約とは別に秘密保持契約を結ぶ場面があります。
先に情報だけ見せて契約するかを判断する流れがあるため、A4で1枚に収まる短い書式で足ります。

第1条(秘密情報)秘密情報とは、甲が乙に開示する顧客情報、価格情報、営業資料をいう。
第2条(除外)公知の情報および乙が独自に取得した情報は、秘密情報に含まない。
第3条(目的外使用の禁止)乙は、営業代行業務以外の目的で秘密情報を使用しない。
第4条(第三者への開示)乙は、甲の書面による承諾なく秘密情報を第三者に開示しない。
第5条(複製)乙は、業務に必要な範囲を超えて秘密情報を複製しない。
第6条(返還と消去)乙は、契約終了後30日以内に秘密情報を返還または消去する。
第7条(消去の証明)乙は、消去の完了を書面により甲へ報告する。
第8条(存続期間)本契約の効力は、契約終了後3年間存続する。
第9条(損害賠償)乙は、違反により甲に生じた損害を賠償する。
第10条(管轄)甲の本店所在地の裁判所を専属的合意管轄とする。 

情報の種類

保管の可否

保管できる期間

顧客の氏名と連絡先

業務の期間中のみ

契約終了後30日以内に消去

商談の記録

委託者へ返還

返還後は複製を残さない

価格表と提案書

保管しない

業務の終了時に消去

統計にした架電の結果

保管できる

個人が特定できない形に限る

終了後の確認作業が短く済むのは、消去までの日数を条文に入れたときです。
日々の動きを追う書類も、様式をそろえておくと後の確認が楽になります。

ひな形⑤:月次の業務報告書の様式

報告書の様式は、契約書の別紙として先に固めておきます。
毎月の書式が違うと3か月分を並べた比較ができず、代行会社の実力を測るための材料が残りません。 

・対象期間:報告する月の初日と末日を書く(例:2026年9月1日から9月30日)
・稼働時間:当月の合計稼働時間を書く(例:82時間)
・架電数:発信した総件数を書く(例:640件)
・接続数:担当者につながった件数を書く(例:96件)
・商談設定数:日程が確定した件数を書く(例:14件)
・商談実施数:実際に実施できた件数を書く(例:12件)
・受注数:成約に至った件数を書く(例:3件)
・特記事項:断り理由の傾向と次月の方針を書く(例:予算の時期ずれによる保留が増加)
・提出日:報告書を提出した日を書く(例:2026年10月5日) 

同じ列で毎月出してもらうことが、代行会社を変えた後の比較を支える条件です。
様式まで自社で用意できない場合は、他社が配る無料のひな形も選択肢です。

比較①:無料配布ひな形の利用条件

無料で配られるひな形は、条文の数より配布条件で差が出ます。
実際に確認すると、費用とファイル形式は明記されている一方、改変してよいかまで書いてある配布元は多くありません。
自社の商材名や単価を書き入れる作業も改変に当たるため、利用規約の確認が前提です。
登録の要否は、ダウンロードの直前まで進まないと分からない配布元もあります。
主な5つの配布元を、2026年8月時点の記載内容で比べます。 

配布元

費用

ファイル形式

利用条件の記載

bizocean

書式により異なる

WordやPDFなど

記載なし

クラウドサイン

無料

Word

記載なし

テンプレートBANK

無料

WordとGoogleドキュメント

使用許諾条項のページで確認

mysign

無料

Word

利用規約のページで確認

デイライト法律事務所

無料

WordとPDF

自社の事業での使用に限る

条件が書かれていない配布元は、規約のページを開いてから社内で共有するのが安全です。
ひな形が整っても、運用が始まると別の火種が生まれます。

準委任契約でトラブルになる5つの原因

原因①:業務範囲が曖昧なまま

業務の範囲は、どこまで書けば曖昧でなくなるのでしょうか。
答えは、日々の動作の単位まで落とし込めているかどうかです。
営業活動の支援という一文だけでは、リストの作成まで含むのか、架電だけで足りるのかを判断できません。
範囲の空白は、着手から2か月ほど経った頃に食い違いとして表面化します。
受託側は契約の外の作業と考え、委託側は当然含まれると考えるためです。
対処法は、委託する作業と委託しない作業を、同じ数だけ並べて書くことです。
架電と日程の調整は含み、提案書の作成と見積の提示は含まないと書き分けます。
後から追加を頼むときの交渉が短いのは、含まない側まで書き出した契約書です。
範囲を動作で切ると、追加の依頼が有償か無償かをその場で判断できます。
範囲が固まっても、次は何をもって成果とみなすかで意見が割れます。

原因②:成果の定義がずれる

成果報酬でもめる原因の大半は、金額ではなく数え方にあります。
商談1件と言っても、日程が入った時点か、実施できた時点かで件数は変わります。
代行会社は設定した数を数え、発注側は実施できた数だけを成果とみなす場面が典型です。
ずれを消すには、成果と認める条件を、成立の時点と相手の役職と商談の長さまで言い切ることです。
よくあるずれと、契約書での書き方を並べます。 

ずれの起きる点

起きやすい解釈の違い

契約書での書き方

商談の成立時点

日程の確定か、実施の完了か

実施が完了した商談を1件と数える

相手の役職

担当者なのか、決裁権のある人なのか

課長職以上との面談に限る

商談の長さ

5分の挨拶か、30分の説明か

30分以上の実施を条件とする

重複の扱い

同じ会社の別部署を別件とするか

同一法人は期間中1件と数える

取り消しの扱い

当日の欠席を成果に含めるか

実施できなかった分は件数から外す

月末の請求書を見て驚かずに済むのは、5つの条件を書き込んだ契約です。
数え方が揃っても、日々の報告が粗いままでは実態が見えません。

原因③:報告の粒度が合わない

報告書が届いても実態が見えない状態は、粒度の不一致から生まれます。
架電400件という数字だけでは、その400件がどの業種の誰に向けられたのかを追えません。
粗い報告に共通するのは、件数だけが並び、うまくいかなかった理由がどこにも書かれていない点です。
届いた報告を読んでも発注側が次の1手を決められないなら、粒度が足りていません。
粗い報告には共通する4つの特徴が現れます。

・数だけが並ぶ:架電数と接続数はあるが、断られた理由がない
・主語がない:誰がどの企業に接触したのかを追えない
・期間がずれる:先月と今月で集計する範囲が違う
・提出が遅い:翌月の中旬に届き、打ち手の変更が間に合わない

代行会社を替えた後も比較が続くのは、報告の型を別紙で固めた場合です。
報告が整っても、関係を終える場面の取り決めが抜けていると揉めます。

原因④:解除の条件が不明確

民法651条は、委任の当事者はいつでも解除できると定めています。
(参考:民法|e-Gov法令検索
ところが相手にとって不利な時期に一方的に解除すると、損害の賠償を求められる場合があります。
予告の期間と精算の方法が空欄のままだと、拠り所はこの条文だけです。
解除でもめる5つの場面を、条文の書き方とあわせて整理します。 

もめる場面

取り決めがない場合

契約書での書き方

予告の期間

いつ伝えても有効か争う

1か月前までの書面通知とする

既にした作業

月の途中の報酬が宙に浮く

稼働時間に応じて日割りで精算する

前払いした費用

返還の範囲が定まらない

未使用分は解除の翌月末に返金する

引き継ぎの範囲

商談中の案件が放置される

進行中の案件の一覧を提出する

顧客の情報

返還か消去なのかで対応が割れる

30日以内に消去し完了を報告する

関係を終える月の作業が事務だけで済むのは、解除の条文が具体的な契約です。
終わり方を決めても、日々の関わり方しだいで契約の性質そのものが変わります。

原因⑤:指揮命令が混ざる

準委任契約でもっとも重い落とし穴は、日々の指示の出し方です。
代行会社の担当者に、始業の時刻や1日の架電目標を直接指示すると、契約の形が労働者派遣に近づきます。
線引きが崩れれば、労働者派遣法に触れる偽装請負と判断される恐れがあります。
悪意がなくても、成果を急ぐほど指示は細かくなりがちです。
現場で起きやすい4つの行き過ぎと、その避け方を挙げます。

・出社と時間の指定:常駐や始業の時刻を指示せず、稼働の総量だけを決める
・個別の作業指示:架電の相手を1件ずつ指示せず、対象の条件を渡す
・自社の朝礼への参加:定例の会議には出席を求めず、月次の報告で受け取る
・人選への介入:担当者の交代を命じず、求める経験の水準だけを伝える

窓口を1本にして書面でやり取りすれば、指示が現場へ直に飛ぶのを防げます。
5つの原因を潰したうえで、次に決めるのは報酬の払い方です。

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準委任契約の3つの報酬体系

報酬①:月額固定型の相場と内訳

月額固定型は、稼働の時間に対して毎月同じ額を払う形です。
相場を示す公的な統計はないため、各社が公表する料金の幅として押さえます。
営業代行各社が示す月額は、担当1名の体制でおおむね50万円から70万円ほどが目安です。
注意したいのは、同じ月額でも初期費用やリストの費用を別建てにするかで実質の単価が変わる点です。
内訳の例を、稼働80時間の月で組み立てます。 

内訳の項目

金額の例

確認したい点

基本の稼働費

月60万円(80時間分)

1時間あたりに直すと7,500円

初期の設計費

初月のみ20万円

商材の理解とトーク作りの対価か

リストの費用

1件50円から100円

委託者が用意すれば不要になるか

通信費

月1万円前後

月額に含まれているか別建てか

報告と定例

月額に含む

会議の回数に上限があるか

時間あたりの単価に直すと、複数社の見積を同じ物差しで比べられます。
固定で払う形が合わないなら、次に検討するのは成果に連動させる設計です。

報酬②:成果報酬型の設計の要点

成果報酬型では、決めた成果が出た分だけ報酬が発生します。
発注側にとっては損の小さい形に見えますが、単価の設計を誤ると代行会社は本気で動きません。
1件あたりの単価が低すぎると、労力に見合わない案件と判断され、他社の仕事より後回しにされるためです。
単価は、自社の受注単価と成約率から逆算して決めます。

①自社の粗利を出す:1件受注したときの粗利益を確定する
②成約率を掛ける:商談10件から1件受注なら10%で計算する
③上限額を出す:粗利益に成約率を掛けた額が商談1件の価値
④配分を決める:上限額の3割から5割を代行会社へ回す
⑤検収の条件を書く:どの状態を成果と数えるかを条文にする

逆算で出した単価なら、件数が伸びるほど自社に残る利益も増えます。
月ごとの波が大きい商材では、固定と成果を組み合わせる形が現実的です。

報酬③:複合型で配分を決める

複合型では、月額の固定費と成果報酬を同時に支払います。
固定だけでは代行会社が守りに入り、成果だけでは単価の低い取りやすい案件ばかりに寄って全体の数字が伸びません。
両方を混ぜる狙いは、最低限の稼働を確保しながら上振れを促すことです。
配分を決めるときは、固定を下げるほど成果1件あたりの単価を上げる釣り合いで組み立てます。
3つの配分の型と、それぞれが向く場面は次の対比で整理できます。 

配分の型

固定と成果の比率

向いている場面

固定を厚くする

固定8割・成果2割

商材が新しく成約まで時間がかかる

半々にする

固定5割・成果5割

既に売れている商材を横に広げる

成果を厚くする

固定2割・成果8割

単価が高く成約率の読める商材

配分を書面で決めておくと、成果が伸びた月の支払いでもめずに済みます。
払い方の次に効いてくるのが、代行会社が負う注意の義務の重さです。

準委任契約の善管注意義務で問われる3つの範囲

範囲①:注意義務の一般的な水準

善管注意義務とは、その職業の人なら当然払うはずの注意を尽くす義務です。
民法644条は、受任者は委任の本旨に従い善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負うと定めます。
(参考:民法|e-Gov法令検索
基準になるのは本人の能力ではなく、同じ立場の営業代行会社なら通常果たす水準です。
全力を尽くしたという主張は、水準に届いていなければ弁解になりません。
ここが請負契約との大きな違いです。
請負では完成しなければ報酬は出ませんが、準委任では過程の注意が足りていれば報酬が発生する仕組みです。
逆に言えば、成果が出た月でも手を抜いた事実があれば義務違反を問われます。
水準を契約書に書き込むほど、努力したかどうかの水掛け論は起きにくくなります。
注意の水準と並んで争いになるのが、報告をどこまで求められるかです。

範囲②:報告義務が及ぶ範囲

報告の義務は、聞かれたときだけ答えれば足りるものではありません。
民法645条は、受任者は委任者の請求があるときはいつでも経過を報告し、終了後は遅滞なく結果を報告すると定めます。
つまり請求があれば途中でも応じる義務があり、契約終了時には求められなくても報告が必要です。
問題は、何をどこまで報告するかが条文に書かれていない点です。
営業代行なら、押さえたい報告の中身は4つに絞れます。

・活動の記録:架電数と接続数を、対象の業種ごとに分けて出す
・断られた理由:見送りの理由を分類し、件数とあわせて示す
・商談の中身:相手の役職と課題、次回の予定までを書く
・リストの状態:使い切った件数と、残っている件数を明らかにする 

項目を先に決めておくことが、代行会社を替えた後も比較を続けられる条件です。
報告が足りない状態を放置すると、義務違反として争いに発展します。

範囲③:義務違反となる具体例

善管注意義務の違反は、大きな失敗よりも日々の小さな放置から生まれます。
営業代行で問題になるのは、決められた稼働をしない、報告を出さない、情報を漏らすといった行為です。
どこからが違反かは、契約書に書いた水準との差で判断されます。
よく起きる5つの場面を、違反と見られやすい理由とあわせて並べます。 

起きる場面

具体的な行為

違反と見られやすい理由

稼働の不足

契約した月80時間に対し50時間で終える

合意した稼働量を満たしていない

報告の放置

3か月続けて月次の報告を出さない

民法645条の報告義務を果たしていない

情報の管理

顧客リストを私物の端末に保存する

個人情報の取り扱いが約束と違う

人員の交代

経験者と伝えた担当を無断で入れ替える

前提とした能力の水準を下回る

名乗りの誤り

委託者の社員だと偽って商談を進める

代理の範囲を超えた行為にあたる

違反が疑われたときに拠り所となるのは、日々のやり取りを残した記録です。
注意の義務を果たしていても、契約を途中で終える場面は訪れます。

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準委任契約の中途解除で確認する3項目

確認①:解除予告の期間を決める

予告の期間は、次の担当を用意するのにかかる時間から逆算します。
営業代行を切り替えるときは、顧客リストの引き渡しと商談の引き継ぎだけで数週間かかるためです。
期間が短すぎると、商談中の案件が宙に浮いたまま担当者が去ります。
逆に3か月と長く設定すると、成果の出ない相手に払い続ける期間も延びる点が難点です。
決め方は次の4つの手順に分けられます。

①引き継ぎの量を数える:進行中の商談とリストの件数を洗い出す
②必要な週数を出す:1件あたりの引き継ぎに30分として合計する
③予告の期間を決める:算出した週数に予備の2週間を足す
④書面の形を決める:通知の方法をメールか書面かで指定する

期間を数字で決めておけば、解除の申し出があった月から準備を始められます。
期間が決まると、次に問題になるのは途中まで進んだ分の報酬です。

確認②:既履行分の報酬の精算

途中で終わった月の報酬は、契約の型によって計算の根拠が変わります。
民法648条3項は、履行の途中で委任が終了した場合、既にした履行の割合に応じて報酬を請求できると定めています。
成果完成型は634条が準用され、相手が利益を受ける部分の割合で計算する形です。
どちらも割合という言葉で終わっており、数え方は契約書で決めておく必要があります。
報酬の型ごとに、精算の計算方法を並べます。

報酬の型

精算の考え方

契約書での書き方

月額固定型

稼働した日数で日割りにする

月額を当月の暦日数で割り稼働日数を掛ける

成果報酬型

解除日までに検収を終えた件数で数える

解除日の翌日以降に成立した分は含めない

複合型

固定部分と成果部分を分けて出す

2つを別々に計算し合算すると定める

前払いの費用

使っていない分を返す

精算書に未使用の残高を明記する

初期の設計費

返還しないと決めておく

着手後は返還の対象外と明記する

計算式まで書いた契約書なら、解除の月に当てはめるだけで金額が定まります。
お金の話が片付いても、預けた情報の扱いは残ったままです。

確認③:顧客情報の返還と削除

契約が終わっても、渡した顧客の情報は代行会社の手元に残ります。
個人情報保護法は、委託した個人データの取り扱いについて、委託元に委託先を監督する責任を求めています。
契約の終了後に情報が放置された状態は、監督が行き届いていない状況です。
(参考:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)|個人情報保護委員会
返却か消去かを選び、完了の報告まで求める形にすると監督の記録が残ります。
実務では4つの手順で進めます。 

①対象を洗い出す:渡したリストと商談の記録の範囲を確認する
②返却の方法を指定する:ファイル形式と受け渡しの手段を決める
③消去の期限を切る:受け渡しから30日以内などと日数で示す
④完了の報告を受ける:消去した旨の書面を提出させる

消去の完了を書面で受け取れば、情報が漏れたときの責任の所在がはっきりします。
終わり方を整えたうえで注意したいのが、日々の関わり方が契約の形を変える点です。

準委任契約と偽装請負を分ける3つの境界

境界①:指揮命令の有無で分ける

準委任契約と偽装請負は、どこで線が引かれるのでしょうか。
分かれ目は、代行会社の担当者に誰が指示を出しているかです。
昭和61年労働省告示第37号は、受託した会社が自分の労働者を自ら直接利用しているかを基準に挙げています。
(参考:労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準|厚生労働省
委託者が担当者へ直に業務の指示を出していれば、この基準から外れる状態です。
現場でよくある指示の出し方を、判定の向きとあわせて並べます。 

場面

偽装請負に近づく指示

準委任として保てる形

架電の相手

担当者に1件ずつ架電先を指定する

対象の業種と規模の条件を渡す

話す内容

その場でトークの言い回しを直させる

商材の資料と想定問答を提供する

1日の目標

今日は50件かけるよう直接伝える

月間の稼働時間を契約書で定める

進捗の確認

委託者が担当者へ直接ヒアリングする

代行会社の窓口へ月次で照会する

担当の変更

特定の担当者の交代を指名して求める

求める経験の水準を条件として示す

指示を条件の形に置き換えることが、契約の形と現場の実態を近づける方法です。
指示の出し方に加えて、働く時間の決め方も判定の材料です。

境界②:勤務時間の管理で分ける

時間の管理は、指揮命令の次に見られる判断の材料です。
告示は、始業と終業の時刻や休憩、休日といった項目の指示を、委託者が出していないかを問います。
出勤簿を委託者が管理していれば、雇っているのと変わらない状態です。
時間の扱いで判定が分かれる特徴は4つに絞れます。 

・始業と終業:時刻を決めるのは代行会社で、委託者は総量だけを契約に書く
・休暇の取得:担当者の休みを委託者が承認せず、代行会社が代替を用意する
・残業の指示:委託者が延長を求めず、稼働の上限を超えたら追加で発注する
・勤怠の記録:出勤簿は代行会社が保管し、委託者へは稼働の合計だけを出す

時間を代行会社が決める形にすることが、常駐でも準委任を保てる条件です。
時間の管理を切り離しても、仕事の進め方まで委託者が握れば形は崩れます。

境界③:業務の独立性で分ける

3つ目の境界は、代行会社が自分の事業として仕事を処理しているかです。
告示は、資金の調達と法律上の責任、そして単なる人手ではない専門的な技術や経験の3点を挙げています。
機材も資金も委託者が持ち、担当者が人手として働くだけなら独立性を欠いた形です。
指揮命令と時間の管理を避けても、この3点で判定が崩れる例は少なくありません。
独立性が揺らぐ5つの課題と、契約と運用での対処法を並べます。

独立性が揺らぐ課題

起きている状態

契約と運用での対処法

機材の負担

委託者が電話と端末をすべて貸す

代行会社の設備を使うと契約書に書く

場所の指定

委託者の執務室に席を固定する

作業場所は代行会社が決めると定める

責任の所在

苦情の対応を委託者が引き取る

一次対応は代行会社が担うと定める

人手の補充

繁忙期だけ頭数として呼ばれる

委託する業務の範囲を成果で区切る

技術の提供

商材の知識を委託者が全部教える

提案の設計は代行会社が担うと定める

3つの境界を同時に満たしてはじめて、準委任として説明できる状態になります。
境界を守ったうえで次に迷うのが、担当を外部へ広げる再委託の扱いです。

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準委任契約の再委託を認める3つの条件

条件①:事前承諾の取り方を書く

再委託は、委託者の許諾を得るのが原則です。
民法644条の2は、委任者の許諾かやむを得ない事由がなければ復受任者を選任できないと定めます。
条文があっても、承諾をどう取るかまでは書かれていません。
口頭で伝えただけでは、後から言った言わないの争いのもとです。
承諾の取り方は4つの手順で固めます。

①申し出の形を決める:書面かメールかを指定し口頭を認めない
②伝える中身を決める:再委託先の名称と委託する範囲を書かせる
③回答の期限を切る:受け取りから10営業日以内に可否を返す
④記録を残す:承諾した書面を契約書と一緒に保管する

承諾の手順を先に決めておけば、急な増員の相談にも数日で返事を出せます。
承諾を出した後に問われるのは、再委託先が起こした問題を誰が背負うかです。

条件②:再委託先の責任の所在

再委託を認めても、委託者の窓口は元の代行会社のままにしておきます。
理由は、責任を追う相手が増えるほど、問題が起きたときに誰へ話を持ち込むかで時間を失うためです。
顧客の情報が漏れた場面を考えると分かりやすくなります。
再委託先が直接の原因でも、委託者は契約を結んでいない相手に請求できません。
契約書に元の代行会社が全責任を負うと書いておけば、請求先は1社で足りる形です。
逆に責任を分担すると書くと、双方が相手の落ち度だと主張して時間だけが過ぎます。
責任を1社に集めるほど、事故が起きた月の対応は短く終わります。
責任の集約と並んで欠かせないのが、秘密を守る約束を末端まで届けることです。

条件③:秘密保持を連鎖させる

秘密保持の約束は、再委託先まで届いてはじめて機能します。
元の代行会社とだけ約束を結んでも、実際に顧客のリストを開いて架電するのは再委託先の担当者です。
契約書に同等の義務を課すと書き、写しの提出まで求めるのが安全な形です。
守らせる対象を5つに分け、契約書での書き方を並べます。 

守らせる対象

起きやすい抜け道

契約書での書き方

再委託先の会社

元の契約と別の緩い条件で結ぶ

本契約と同等の義務を課すと定める

現場の担当者

個人単位の誓約を取っていない

従事者から個別に誓約書を取らせる

使う端末

私物の端末にリストを保存する

業務用の端末に限ると明記する

契約の終了後

期間の定めがなく効力が切れる

終了後も3年間は義務が続くと定める

違反した場合

損害の算定ができず請求できない

違約金の額を金額で先に決めておく

誓約を末端まで取っておけば、情報が漏れた原因を人単位でたどれます。
再委託の条件が整えば、次に決めるのは契約をいつまで続けるかです。

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準委任契約の契約期間と更新の3つの型

型①:自動更新型の注意点

自動更新型は、申し出がなければ同じ条件で契約が続く形です。
手続きの手間が省ける一方、見直しの機会も同時に失われます。
半年ごとに単価を見直す約束をしたのに、3年のあいだ一度も話し合いがなかった例は珍しくありません。
気づくのは、他社の見積を取って相場との差を知ったときです。
自動更新で見落としやすい点は4つに絞れます。

・単価の据え置き:相場が下がっても契約時の金額のまま払い続ける
・担当の固定:入れ替わりの相談を出す機会がないまま年をまたぐ
・成果の基準:商談の定義が古いまま実態と合わなくなる
・解約の期限:申し出の期日を過ぎ、もう1期間分の支払いが確定する 

更新の1か月前に見直しの打ち合わせを入れると、条件を動かす機会を残せます。
更新の前に力量を測りたい場合に向くのが、最初の期間を短く区切る型です。

型②:試用期間を設ける型

試用期間型では、最初の2か月から3か月を短い契約で区切ります。
期間の終わりに続けるかどうかを決め直せるため、合わない相手と1年を過ごす事態を避けられます。
代行会社の側にも、短い期間で成果を示して長期の契約につなげられる利点があるのは同じです。
決めておく項目を5つに分け、書き方の例とあわせて並べます。 

決めておく項目

決めないと起きること

契約書での書き方

試用の長さ

短すぎて成果が出る前に終わる

初回は3か月とする

判断の基準

継続するかの根拠が主観になる

商談30件の達成を判定の目安とする

移行の手続き

本契約への切り替えが宙に浮く

満了の2週間前までに書面で通知する

試用中の単価

本契約と同じ額で交渉が効かない

試用期間は月額の8割とする

終了時の扱い

リストや記録が返らない

満了時に成果物を提出させる

試用の段階で基準を数字にしておけば、続けるかどうかを感覚で決めずに済みます。
続けない判断をした場合に効いてくるのが、更新を断る通知の期限です。

型③:更新拒絶の通知の期限

更新を断るときは、契約書で決めた期限までに通知を出さなければ、そのまま次の期間が始まります。
期限を決めるのは契約書であり、法律に一律の日数はない点が特徴です。
実務では1か月前から3か月前までの幅で設定する例が目立ちます。
通知を出す側の手順は4つです。

①期限を確認する:契約書の条文で何か月前かを読み直す
②社内で決裁を取る:期限の2週間前までに承認を終える
③書面で通知する:更新しない旨と契約の終了日を明記する
④引き継ぎを始める:受領の返信を確認してから作業に入る

期限から逆算する癖がつけば、望まない更新で1期間分を払う事故は起きません。
期間の型が決まったら、次に必要なのは成果を測る物差しです。

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準委任契約で成果を管理する3つの指標

指標①:架電数と接続率の基準

成果を測る出発点は、架電の数とつながった割合の2つです。
数だけを追うと、留守番電話への発信ばかりが積み上がり、担当者に届かないまま月が終わります。
接続率は、担当者に電話がつながった件数を発信数で割って出す数字です。
業種と時間帯で大きく変わるため、契約時に一律の目標を置くと実態と離れます。
基準の決め方を5つの場面に分けて並べます。 

決める場面

目安の置き方

契約書に書き足す文言

架電の総量

月の稼働時間から逆算する

月間の発信件数は1,200件を目安とする

接続の割合

過去3か月の実績を基準にする

接続率は5%を下回らないよう努める

対象の業種

業種ごとに別の目標を置く

業種別の内訳を月次で報告する

かける時間帯

つながりやすい時間を指定する

平日10時から17時を発信の中心とする

未達のとき

原因の報告を先に求める

未達の月は原因と改善策を書面で示す

数字の根拠を契約書に書き添えれば、目標に届かない月も責める話ではなく直す話になります。
数の管理が整ったところで、次に問われるのは商談の中身です。

指標②:商談化率と質の確認

架電がつながっても、商談として成立しなければ売上には届きません。
商談化率とは接続した相手のうち商談の約束まで進んだ割合で、問題になるのは何を商談と数えるかの定義です。
定義が緩い代行会社ほど数字は良く見えますが、受注には結びつきません。
質を確かめる観点は4つに絞れます。

・商談の定義:担当者と30分以上の面談を設定できた件を数える
・決裁の有無:予算と決裁の権限を持つ相手かどうかを記録する
・次回の約束:次の打ち合わせ日が決まった件だけを進行中とする
・記録の様式:商談の記録を委託者の書式で提出させる 

定義をそろえておけば、代行会社を替えた後も過去の数字と並べて比べられます。
商談の質が見えたら、最後に確かめるのは受注と単価の動きです。

指標③:受注数と単価の推移

最後の指標は、実際に契約へ至った件数と1件あたりの金額です。
件数だけを見ると、値引きを重ねて数を稼いだ月まで高く評価してしまい、利益の薄い受注が増えます。
単価を並べて初めて、売上に効いている活動かどうかが分かります。
見るべきなのは単月の数字ではなく、3か月から6か月の傾きです。
追い方を5つに分けて並べます。 

追う項目

見方

契約書に書き足す文言

受注の件数

月ごとの推移を3か月で並べる

受注件数を月次の報告に含める

1件の単価

平均額と最も多い価格帯を出す

平均単価と件数の内訳を報告する

値引きの幅

定価との差を割合で示す

20%を超える値引きは事前に協議する

継続の期間

受注後の解約までの月数を見る

解約が出た案件は理由を報告する

業種の偏り

上位3業種の構成比を出す

業種別の受注構成を四半期ごとに示す

単価の動きまで報告の項目に入れておくと、値引き頼みの受注を早い段階で見つけられます。
測る物差しが決まったら、次は契約を結ぶまでの段取りです。

準委任契約の締結までの5つの手順

手順①:委託範囲をすり合わせ

最初にやるのは、どこまでを任せるかを言葉にする作業です。
範囲があいまいなまま契約すると、後から追加の依頼が無償で積み上がり、月の採算が合わなくなります。
決めるのは業務の種類だけでなく、対象の顧客と使う道具の範囲までです。
すり合わせは4つの段取りで進めます。 

①範囲を書き出す:任せる業務を架電・商談・受注後の対応に分けて並べる
②対象を絞る:狙う業種と企業の規模、地域を条件として書く
③道具を決める:顧客リストと通話の記録をどちらが用意するか決める
④除く仕事を書く:見積の作成や契約の締結など任せない業務を明記する 

範囲を紙に落としてから見積を取れば、代行会社ごとの金額を同じ土俵で比べられます。
範囲が決まったら、次はそれを条文の形にするひな形の準備です。

手順②:ひな形を自社で用意

契約書のひな形は、発注する側が用意するのが基本です。
代行会社の書式をそのまま使うと、責任の範囲が狭く書かれた条項に気づかないまま契約が進みます。
一から作る必要はなく、公的機関が配る書式を土台にすれば十分です。
入手先と使い方を5つに分けて並べます。 

入手先

使えるもの

使うときの注意

公的機関の公開書式

業務委託契約の基本形

営業代行向けに業務の範囲を書き足す

業界団体の書式

秘密保持の条項

期間と対象の情報を自社に合わせる

顧問弁護士の書式

過去の取引で使った条文

相手の業種が違えば責任の範囲を見直す

市販の書式集

条文ごとの解説

発行年を確認し民法改正後のものを選ぶ

過去の自社契約

実務で通った実例

自社が受注側だった契約は立場を入れ替える

自社の書式を持てば、案件ごとに条項を書き足すだけで契約の準備が終わります。
土台がそろったら、次は条項を1つずつ読む作業です。

手順③:条項を1つずつ確認

条項は、どこから手を付けて読めばよいのでしょうか。
優先して読むのは、お金と責任にかかわる条文です。
全部を同じ重さで読むと時間が足りなくなり、いちばん肝心の報酬と責任の条文を流してしまいます。
読む順番を4つの段取りにまとめます。

①金額の条文から読む:報酬の額と支払いの期日、経費の扱いを確かめる
②責任の条文を読む:損害賠償の上限と、義務違反となる行為の定義を見る
③終わり方の条文を読む:解除の予告期間と、途中の月の精算方法を確かめる
④情報の条文を読む:秘密保持と個人情報の返却、消去の期限を確認する

順番を決めて読めば、法務の担当者がいない会社でも危ない条文を拾えます。
自社で読み終えた後に残るのが、外の目で確かめる工程です。

手順④:法務と単価を確認

4つ目の手順で外の目を入れるのは、社内の読み方に偏りが出るためです。
発注する部署は成果を早く出したい立場にあるため、条文の細かい不利にはなかなか目が向きません。
法務の担当や顧問の弁護士は、損害が出た場面から条文を読み返します。
同じ条文でも、立場が変われば見え方が変わる点が大事です。
単価の確認も、この段階でそろえて行います。
相見積を3社から取り、月額と成果の単価を同じ条件で並べます。
条件がずれた見積のままでは、安い高いの判断が成り立たない状態です。
稼働時間と報告の頻度、成果の定義の3つをそろえてから比べる形です。
法務と単価を同じ段階で確かめると、契約を結んだ後の交渉のやり直しが減ります。
中身が固まったら、最後に残るのは結び方と保管の決め方です。

手順⑤:締結と保管方法を決める

最後の手順は、契約書をどう結び、どこに置くかを決めることです。
紙で結ぶか電子で結ぶかによって、印紙の要否と保管の場所が変わります。
印紙税は紙の文書に課されるものであり、電子で締結すれば課税文書そのものが生まれない仕組みです。
保管は、契約書だけでなく承諾書や覚書までまとめて残します。
決めておく項目を5つに分けて並べます。 

決める項目

選び方

契約書での書き方

結び方

紙か電子かを先に決める

電子署名により締結すると定める

印紙の負担

紙なら双方の負担割合を決める

印紙代は各自が自己の分を負担する

保管の場所

原本の置き場を1か所に決める

正本を各1通ずつ保有すると定める

保管の期間

契約終了後も残す年数を決める

終了後7年間は保管すると定める

更新の記録

覚書も同じ場所に綴じる

変更は書面による合意で行うと定める

置き場と残す年数まで決めておけば、更新や解除の相談が来た日にすぐ原本を出せます。
手順をひととおり押さえたところで、残るのは細かな疑問の整理です。

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準委任契約と営業代行に関するよくある質問

印紙は必要になるのか

準委任契約書そのものは、印紙税のかかる文書の一覧に載っていません。
委任や準委任の契約書は、課税される20種類の文書に含まれないためです。
気をつけたいのは、継続的な取引の基本となる契約書に当たる場合です。
国税庁は、売買に関する業務を継続して委託する契約書を第7号文書に挙げており、営業代行も内容次第で当てはまります。
(参考:No.7104 継続的取引の基本となる契約書|国税庁
判断の分かれ目は4つです。 

・課税の対象か:委任と準委任の契約書は課税される一覧に載っていない
・7号文書に当たるか:売買に関する業務を継続して委託する内容が入っているか
・期間の長さ:期間が3か月以内で更新の定めがなければ対象から外れる
・結び方:電子で締結すれば紙の文書が生まれず印紙は不要になる

該当した場合の印紙代は1通4,000円となり、期間の書き方だけで扱いが変わります。
お金の扱いと並んでよく聞かれるのが、書面を作らない契約の効力です。

口頭の合意でも成立するか

口約束でも準委任契約は成立します。
民法643条と656条は、当事者の合意だけで委任の効力が生じると定めています。
書面がないまま契約が有効になる点こそ、争いになったときの弱点です。
成立したかどうかではなく、何を合意したかを示せないためです。
報酬の額や解除の予告期間は、双方の記憶に食い違いがあると、そのまま請求できる金額の差になって現れます。
実務では、メールのやり取りだけでも合意の内容を残す価値があります。
発注書と請書を交わす形でも、条件の記録としては十分な材料です。
継続して任せるなら、契約書を1通作るほうが結局は早く済みます。
口頭でも契約は成立しますが、後で守れるのは書き残した条件だけです。
記録の大切さは、契約を途中でやめるときにもっとも表に出ます。

途中解約で違約金は出るか

準委任契約は、当事者のどちらからでもいつでも解除できます。
民法651条1項が、各当事者はいつでも委任を解除できると定めているためです。
(参考:民法|e-Gov法令検索
ただし相手に不利な時期に解除した場合は、やむを得ない事由がない限り損害を賠償する義務が生じます。
違約金という言葉で呼ばれるのは、この賠償と契約書で決めた金額の2つです。
場面ごとの扱いを5つに分けて並べます。 

解除の場面

支払いの有無

契約書での備え

予告の期間を守った解除

賠償は生じない

予告は1か月前までと定める

予告なしの突然の解除

不利な時期なら賠償が生じる

予告がない場合の精算方法を定める

相手の義務違反による解除

解除した側は支払わない

違反にあたる行為を条文で具体化する

違約金の定めがある契約

定めた金額を支払う

金額の根拠を業務の実費で示す

初期の費用を払った直後

返還されない場合がある

着手金の返還条件を明記する

違約金が出るかどうかは、法律より契約書の書き方で決まる部分が大きくなります。
条文の意味と作り方を押さえたら、あとは自社に合う形へ落とすだけです。

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無形商材の営業代行会社一覧27選・選び方と売りにくさの型別に見る比較ポイント
営業代行の導入事例31選・課題と支援内容・成果・体制人数の増減まで業種別に解説

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